TSMC進出5年、周辺自治体は人口増も渋滞・家賃上昇で課題浮き彫り
TSMC進出5年、周辺自治体は人口増も渋滞・家賃上昇で課題

半導体受託製造世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が2021年に熊本県内への進出を表明してから今年で5年となる。半導体関連産業の集積に伴い、周辺自治体では人口増などの好影響もみられるが、交通渋滞の悪化や人手不足といった課題も浮き彫りになっている。

渋滞箇所数が増加

7日午後5時半過ぎ。TSMC熊本第1工場(熊本県菊陽町)の前を走る夕暮れの県道は、トラックや乗用車などの車列が数百メートルの長さに連なっていた。

国土交通省九州地方整備局によると、TSMC熊本第1工場が立地する菊陽町や隣接する合志市、大津町の25年の主要な渋滞箇所数は38か所。TSMCが進出を表明した21年と比べ、約4割増えた。

渋滞悪化の要因の一つに挙げられるのが、相次ぐ企業進出に道路整備などが追いついていない実態だ。

TSMCの進出表明後、県と半導体関連企業が締結した立地協定は71件(3月末時点)に上っている。菊陽町では道路の拡幅工事などが進められており、町建設課の担当者は「道路整備と合わせて時差出勤などのソフト対策も進めていく」と語る。

活気づく工場一帯

相次ぐ企業進出を追い風に県は25年、セミコンテクノパーク(合志市、菊陽町)周辺への企業などの誘致を目指す「くまもとサイエンスパーク」の推進構想を公表。半導体のユーザー企業や大学、研究機関の誘致を目指す計画だ。

また、菊陽町やTSMC周辺の菊池、合志両市、大津町の計5か所では約10~25ヘクタールの新たな工業団地の分譲が31年度までに始まる予定だ。

こうした活況は、周辺人口や財政に影響をもたらしている。9月に公表された国勢調査では、20年の前回調査から県内7市町村で人口が増えた。最も増えたのは合志市で2542人、大津町1728人、菊陽町1195人となり、3市町が上位を占めた。

合志市は今後も人口が増加する見通しを立てており、担当者は「TSMC進出の影響や熊本市のベッドタウンであることなどから、子育て世帯が転入してきている」と話す。