英イングランド銀行(中央銀行)は21日、政策金利を現行の5.25%に据え置くことを決定した。市場では0.25ポイントの利上げが予想されていたため、サプライズとなった。金融政策委員会(MPC)は9人の委員のうち5対4の僅差で据え置きを決定した。
インフレ鈍化と景気減速の板挟み
イングランド銀行は声明で「インフレ率は依然として高すぎるが、金融政策の引き締め効果が徐々に現れている」と指摘。英国の消費者物価指数(CPI)上昇率は8月に6.7%と、前月の6.8%からわずかに低下したが、目標の2%を大きく上回っている。
一方、英国経済は減速傾向にある。8月のGDPは前月比0.2%減少し、景気後退懸念が強まっている。イングランド銀行のベイリー総裁は「長期的なインフレ期待が低下していることを確認した」と述べ、利上げ休止の根拠を示した。
市場の反応と今後の見通し
この決定を受けて、ポンドは対ドルで下落。英10年国債利回りも低下した。市場では年内の追加利上げ観測が後退し、金融政策の転換点を迎えたとの見方が広がっている。
イングランド銀行は「必要に応じて追加の金融引き締めを行う用意がある」としつつも、現時点では様子見姿勢を明確にした。今後のインフレ動向と経済指標次第で、11月の次回会合での利上げの可能性は残されている。
専門家の見解
キャピタル・エコノミクスの英国エコノミスト、ポール・デイルズ氏は「今回の据え置きは利上げサイクルの終了を示唆するものではないが、利上げペースが鈍化する可能性は高い」と分析。一方、インベステックのエコノミスト、フィリップ・ショー氏は「インフレが依然として高水準であることを考慮すれば、年内あと1回の利上げは避けられない」と予想する。
イングランド銀行の決定は、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)の最近の動きとは対照的だ。ECBは14日に0.25ポイントの利上げを実施し、FRBも20日に金利を据え置いたものの、年内追加利上げの可能性を示唆している。



