中央線から見える「山肌を貫く巨大チューブ」の正体…バブルが生んだ山梨《天空のマチュピチュ》
中央線から見える巨大チューブの正体…バブルが生んだ天空のマチュピチュ

中央本線の車窓から、山肌を貫く巨大なチューブ状の建造物が見える場所がある。山梨県上野原市、四方津(しおつ)駅のすぐ近くにそびえるその構造物は、「コモア・ブリッジ」と呼ばれる。新宿から約80分の距離に位置し、駅を降りると目の前に現れるその姿は、まるで異世界への入り口のようだ。

高低差88メートルを4分で結ぶ斜行エレベーター

コモア・ブリッジの麓に立つと、ガラスのドーム状の空間が広がる。中央にはエスカレーターが真っ直ぐに伸び、その両脇を斜めに動く「斜行エレベーター」が通っている。エレベーターはゆっくりと上昇し、ガラス越しに山の緑が広がる。頂上までの高低差は約88メートル、所要時間は約4分だ。

頂上に降り立つと、そこには「山梨のマチュピチュ」とも称されるニュータウンが広がっている。この住宅地は、バブル経済期に開発された「コモアしおつ」という計画都市で、丘陵地ならではの眺望と緑を生かしたユニークな街並みが特徴だ。

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なぜこれほど大きな住宅地ができたのか?

「コモアしおつ」は、1980年代後半のバブル期に計画された大規模な宅地開発プロジェクトである。当時、東京圏の人口増加と地価高騰を受け、都心から通勤可能なエリアとして山梨県上野原市が注目された。四方津駅周辺の丘陵地を造成し、約700戸の住宅と商業施設、公園などを整備する計画が進んだ。

しかし、バブル崩壊により開発は一部頓挫。計画されたすべての区画が完売したわけではなく、現在も空き地や未利用地が残る。それでも、完成したエリアでは美しい街並みが維持され、住民のコミュニティも形成されている。

コモア・ブリッジは、駅と住宅地を結ぶ全長210メートルの連絡通路で、高低差を克服するために斜行エレベーターとエスカレーターが設置された。この構造は全国的に見ても珍しく、観光スポットとしても知られている。

生活インフラを備えた「天空のニュータウン」

住宅地内には「まちのスーパー」と呼ばれる商店や、公園、集会所などが整備され、生活に必要なインフラが一通りそろっている。住民の多くは、東京方面へ通勤するサラリーマンや、自然豊かな環境を求めて移住してきた人々だ。

「家の広さ、まちなみのきれいさがダントツ」と、不動産関係者は評価する。都心に比べて広い敷地と、計画的な街路設計が魅力で、子育て世代にも人気があるという。

一方で、高台ゆえの課題もある。冬季の路面凍結や、駅までのアクセスに頼らざるを得ない立地は、高齢化が進むコミュニティにとって悩みの種だ。しかし、コモア・ブリッジの存在が、そうした不便さを補っているとも言える。

バブルが生んだ規格外の遺産

「コモアしおつ」は、バブル期の熱気が生んだ規格外のニュータウンである。その象徴とも言えるコモア・ブリッジは、今もなお多くの人々の目を引き、不思議な魅力を放っている。連載「『フシギな物件』のぞいて見てもいいですか?」では、こうしたユニークな物件の背景にあるドラマや、そこで営まれる生活に迫っていく。

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