中国の景気悪化や政治的リスクを背景に、日本へ移住する中国人富裕層が急増している。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、彼らが5億円超の都内マンションを現金で購入するほどの資金力を持ち、経営・管理ビザの基準も容易にクリアできると指摘する。
中国人富裕層の「不動産投資ツアー」
牧野氏のもとに、中国系旅行会社から一本の電話が入った。依頼内容は、来月来日する中国の団体客に対し、東京都内のマンションマーケットについて講演してほしいというもの。牧野氏は著書が中国で翻訳出版されていることから指名されたという。当日、品川のホテル会議室には20数名の一行が集まった。夫婦連れが多く、高齢者や子供らしき姿も見られた。
講演時間は40分。牧野氏が都内マンションマーケットの状況を説明すると、中国の参加者は積極的に質問を投げかけ、感嘆の声やため息が漏れるなど、日本の講演とは異なる雰囲気だった。
港区の「5億円マンション」購入の実態
事前の打ち合わせでは、参加者は日本のマンションを購入する意欲満々であることが伝えられていた。牧野氏は2023年に話題となった港区内の高額マンションを例に挙げた。タワーマンションではないが大型物件で、分譲戸数は900戸超。坪単価1300万~1400万円台、120平方メートル相当の住戸で4億8000万~5億2000万円である。
講演後、牧野氏が「このマンションを買われた方はいらっしゃいますか?」と質問したところ、会場から複数の手が挙がったという。
「同胞人が多く買っているので安心」
中国人富裕層が日本不動産を購入する背景には、中国の景気悪化や政治的リスクからの逃避がある。牧野氏は「お金持ちが中国脱出し始めた理由」として、企業の中国離れや言論統制の強化を挙げる。また、アメリカやシンガポールへの移住が難しくなる中、日本は「移住コスト」がまだ安いと指摘。
さらに、中国人コミュニティの存在も安心材料となっている。「同胞人が多く買っているので安心」という声も聞かれる。
日本の「移住コスト」はまだまだ安い
牧野氏によれば、中国人富裕層は経営・管理ビザを取得しやすく、日本の不動産購入は資産保全の手段として魅力的だという。都心の高級マンションは値上がりが続いており、投資対象としても注目されている。
本稿は牧野知弘『「外国人不動産」問題』(祥伝社新書)の一部を再編集したものである。



