「爆買い」の主役が変化:炊飯器から不動産へ
かつて中国人観光客の「爆買い」といえば、炊飯器や化粧品を両手に抱えた姿が象徴的だった。しかし、その主戦場は今、不動産へと移りつつある。円安が進む日本は、中国人にとって「バーゲンセール」状態と映り、すでに約90万人の同胞が在留する安心感も後押しとなっている。
2015年ごろに流行語となった「爆買い」は、短期間で東京から大阪まで移動する「弾丸ツアー」で、炊飯器や洗浄機能付き便座、高級腕時計などを大量購入する現象だった。しかし、中国経済の成長に伴い、団体ツアーから個人旅行へとスタイルが変化。消費の目的も「モノ消費」から「コト消費」へと移行し、不動産購入が新たな目玉となっている。
中国では土地は買えない「70年の使用権」の壁
中国では土地は国有で、個人が取得できるのは最長70年の「使用権」にすぎない。一方、日本では外国人でも土地を含む完全な所有権を取得できる。この違いが、中国人富裕層にとって日本の不動産を魅力的な投資対象にしている。
また、中国経済の失速により、資産の逃避先として日本が選ばれている。円安は購買力をさらに高め、日本の不動産価格が割安に映る要因となっている。
在留中国人90万人が後押し
日本に在留する中国人は約90万人に達し、彼らのコミュニティが不動産購入のサポートや情報提供に一役買っている。日本語が堪能な不動産エージェントや、中国語対応の物件情報サイトも増え、購入ハードルは下がっている。
本稿は牧野知弘氏の著書『「外国人不動産」問題』からの抜粋であり、同氏は「中国人にとって日本は、土地所有権が得られるパラダイスだ」と指摘する。
今後の展望と課題
中国人の不動産購入は、日本の地方都市やリゾート地にも広がりつつある。一方で、価格高騰や地域コミュニティとの摩擦などの課題も浮上している。今後、日本の不動産市場は、外国人投資家の動向に大きく左右される可能性がある。



