愛知県岡崎市の康生地区は、かつて「西三河一の繁華街」として多くの買い物客で賑わっていた。しかし現在、その風景は一変している。東岡崎駅の改札を出ると、まず目に入るのは工事中の駅ビルだ。かつてここには「岡ビル百貨店」という商業施設が存在した。1958年に開業し、63年にわたって営業を続けたが、2021年に閉店。現在は取り壊され、工事現場のフェンスが続いている。
岡ビル百貨店の歴史と役割
岡ビル百貨店は、市・名鉄・商工会議所が出資した官民一体の施設で、東岡崎駅ビルの2・3階に入居していた。百貨店という名称ながら、実際は地域の寄り合い施設に近い存在で、1970年代にはサービス業の割合が半分近くに達していた。テナントは飲食店やブティックが多く、レトロな内装が特徴的で、散策を楽しめる施設として親しまれていた。
商店街の衰退と変容
康生地区で生まれ育った86歳の女性は、「高校生の頃は、夜9時まで店が開いていて、すごくにぎわっていた」と振り返る。「買い物といえば康生だった。夜まで人がいっぱい歩いていて、それが当たり前だった」という。しかし、2025年6月下旬の取材時、雨の影響もあって通りを歩く人は少なく、かつて大型店が建ち並んでいた西三河最大級の繁華街とは思えない静けさが広がっていた。
1976年に開業した岡崎シビコも、現在は4〜6階が閉鎖されている。フロアマップを見ると、かつて専門店が埋め尽くしていた区画の多くが空白になっており、商業施設としての機能が縮小している。
「買い物に訪れる街」から「暮らす街」へ
康生地区は、かつては買い物客で賑わう商業の中心地だったが、現在は「暮らす街」へと変貌しつつある。百貨店の閉店や商店街の衰退は、全国的な傾向でもあるが、岡崎市の中心部でもその影響が顕著に現れている。駅前の再開発が進められているものの、かつての賑わいを取り戻すには時間がかかりそうだ。



