愛知県岡崎市の中心市街地・康生(こうせい)地区が、かつての面影を失っている。1958年に開業した「岡ビル百貨店」をはじめ、松坂屋を核テナントとする「レオ」、「セルビ」、「名鉄サンリバー(のちの岡崎メルサ)」、「シビコ」など10以上の大型商業施設がひしめき、西三河随一の商業集積を誇ったこの街は、今や百貨店が全滅。6月下旬の雨の降る休日には、昼間にもかかわらず人通りがまばらで、閑散とした光景が広がっている。
西三河最大の商業都市・岡崎の栄枯盛衰
名古屋から特急で約30分、徳川家康生誕の城下町として知られる岡崎市は、人口約38万人を擁する西三河地方最大級の都市だ。かつて康生地区には百貨店や大型商業施設が建ち並び、西三河一の繁華街として賑わいを見せていた。しかし、その多くは姿を消し、跡地の一部はマンションへと建て替わっている。
1958年に開業した「岡ビル百貨店」は2021年に閉店し、現在は取り壊されている。また、松坂屋を核テナントとする「レオ」も閉鎖され、他の大型施設も次々と閉店。現在、康生地区に百貨店は一軒も存在しない。
「夜9時まで人がいた」商店街の変遷
地元住民によると、かつては夜9時まで人通りが絶えなかったという商店街も、現在は店舗数が全盛期から半分以下に減少。空き店舗が目立ち、活気を失っている。ある商店主は「にぎわいは戻った。でも売り上げは別」と語り、イベント開催時など一時的に人出が増えても、消費行動には結びついていない実態を明かした。
残った唯一の百貨店は「デパ地下」だった
岡崎では、百貨店が完全に消滅する直前まで、最後に残った百貨店は「デパ地下」のみだったという。地上階の食品売り場だけが営業を続けていたが、それも閉店。現在、中心街で百貨店的な機能を持つ商業施設は存在しない。
「一つの百貨店」ではなく「街全体を百貨店に」
こうした状況を受け、岡崎市では「一つの百貨店」に頼るのではなく、「街全体を百貨店」として活性化する試みが始まっている。しかし、郊外への大型ショッピングモールの進出や、市民の車移動中心の生活スタイルが定着したことで、中心街への回帰は容易ではない。
本連載では、百貨店が消滅した街を歩きながら、「なぜ消えたのか?」を街ごとに分析。第6回の岡崎市では、中心市街地が全国初の再開発によって巨大な商業集積を築きながら、市民の買い物行動との隔たりや郊外化のなかで、その役割を失っていった経緯を追っている。



