高齢者が自宅のマンションなどを安値で買い取られたり、高値で売りつけられたりする被害が多発している。国民生活センターによると、不動産売買などをめぐるトラブルで、被害者が「60歳以上」という相談件数は過去最多水準で推移する。
「終(つい)のすみか」だったマンションを買いたたかれ、さらに別の物件まで売りつけられた女性(92)のケースを取材した。
「終のすみか」を半値近くで買い取られる
事情に詳しい弁護士によると、女性は独身で、通信会社で定年まで働いていたという。50歳を過ぎた頃、老後の「終のすみか」にしようと東京都内にマンション(48平方メートル)を購入し、ひとりで暮らしていた。
2023年夏、東京のある不動産会社の担当者が訪ねてきた。詳しいやりとりは不明だが、女性が不動産会社にマンションを売る契約が結ばれた。価格は2千万円。のちに弁護士が調べた物件の市場価格は約3600万円で、半値近い安値で買い取られたことになる。
その際、女性は売買契約と同時に賃貸借契約も結ばされていた。物件を売った後も、売り主がそこに住み続けられるようにする「リースバック」という不動産取引だ。
家賃を払って住み続けることに
女性は当時89歳。マンションを売る必要は全くなかった上に、わざわざ家賃(月額約13万円)を払って住み続けることになった。
高齢者の判断力の低下につけ込み、市価より安く不動産を買い取り、転売してもうけようとする行為は「押し買い」と呼ばれる。リースバックによって住み続けることができても、賃貸借契約を更新できなかったり、家賃が払えなくなったりして、最終的に住めなくなるケースもある。
さらに押し売り被害も
女性の被害はこれで終わらなかった。「ついのすみか」を買いたたかれてしまった女性に、さらなる「魔の手」が及びます。専門家は、不動産売買を規制する制度の欠陥を指摘し、法改正などを求めています。
■こんどは「押し売り」…この記事は有料記事です。残り1891文字有料会員になると続きをお読みいただけます。



