日産自動車とホンダが経営統合に向けた協議を加速していることが、複数の関係筋への取材で明らかになった。電気自動車(EV)販売の世界的な減速や中国市場での競争激化を受け、両社は2026年度中にも共同持ち株会社を設立する方向で調整を進めている。統合が実現すれば、世界販売台数で800万台規模の自動車連合が誕生し、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)に次ぐ世界3位のグループとなる。
EVシフトの壁と統合の背景
日産とホンダはこれまで、EV向けソフトウエアや部品の共通化などで協業を進めてきた。しかし、EV市場の成長鈍化や中国のBYD(比亜迪)など新興メーカーの台頭により、従来の戦略では競争力を維持できないと判断。関係筋によれば、両社は統合により開発費の削減や生産効率の向上を図る。日産は2024年4-9月期の営業利益が前年同期比で約90%減少するなど業績が悪化。ホンダも二輪車事業は好調だが、四輪車のEV化投資が重荷となっている。
統合のスキームと課題
統合方式としては、両社の株式を移転する共同持ち株会社方式が有力視される。日産の筆頭株主である仏ルノーとの資本関係も調整が必要で、ルノーは日産株の約36%を保有。統合協議では、ルノーが持ち株会社に出資するか、日産株を売却するかが焦点となる。また、ホンダは二輪車事業を中核に維持する方針で、四輪車事業の統合範囲も精査中だ。
両社のブランドは当面維持される見通しだが、生産拠点や販売網の重複が課題となる。国内では工場の統廃合が不可避で、雇用への影響も懸念される。アナリストからは「統合によるシナジー効果は大きいが、企業文化の違いや組織統合の難しさがリスク」との指摘が出ている。
業界再編の波と世界の反応
自動車業界では、EVシフトやソフトウエア定義車両(SDV)への移行に伴う開発費増大を背景に、再編の動きが加速。米国ではフォード・モーターと韓国・現代自動車の提携観測が浮上。欧州ではステランティスが中国・ゼロラン(零跑汽車)との合弁を拡大している。日産・ホンダ統合が実現すれば、日本メーカーの競争力強化につながる一方、部品メーカーなどサプライチェーン全体の再編を促す可能性がある。
日産とホンダは2024年3月、EV分野での戦略的提携を発表。その後、統合の可能性を探る協議を続けてきた。両社の2023年度の世界販売は日産が約337万台、ホンダが約410万台で、合計約747万台。統合後は年間800万台超を目指す。トヨタ(1123万台)やVW(923万台)に迫る規模となるが、収益力では両社とも課題を抱える。
今後のスケジュールと市場の見方
関係筋によると、両社は2025年1月中にも基本合意を発表し、2026年夏までに統合手続きを完了させる目標。ただ、ルノーや三菱自動車工業との調整、各国の独占禁止法の審査など越えるべきハードルは多い。三菱自も日産の同盟企業であり、統合に加わる可能性もある。
市場では「統合によるコスト削減効果は年数千億円規模」との試算がある一方、ブランド価値の希薄化や組織統合の混乱を懸念する声も。日産の内田誠社長は「選択肢を検討している」と述べるにとどめている。ホンダの三部敏宏社長は「協業の範囲を広げる可能性はある」と含みを持たせた。
自動車業界の変革期にあって、日産・ホンダ統合は日本のものづくりの生き残りをかけた一大決断となる。両社の動きは、他の日本メーカーやグローバル市場に大きな影響を与えることは間違いない。



