北海道の灯油価格が過去最高を更新した。生活協同組合コープさっぽろは10月1日から、定期配送の灯油価格を札幌地区で1リットルあたり159円に引き上げた。それまでの144円から大幅な値上げで、昨冬の124円と比べて35円高。値上げは札幌地区以外の道内でも同様だ。
北海道の灯油販売量は全国最多、不安広がる
寒冷地では灯油は冬を乗り切るための生活必需品で、石油ストーブのほか風呂の給湯や農業用ハウスの加温など用途は幅広い。北海道の灯油販売量は2025年度(速報)で全国最多の約220万キロリットル、全国販売量の2割を占める。それだけに価格高騰は「過去最大の危機」(コープさっぽろ)と、本格的な冬の到来を前に不安が広がる。
価格高騰の背景には中東情勢悪化の長期化がある。原油輸入の9割をホルムズ海峡経由に依存してきた日本は代替調達を進め、平時並みの量を確保しているが、情勢安定の見通しは立たず、原油の供給不安がついて回る。
過剰発注と精製能力低下が価格急騰の要因
経済産業省によると、灯油は国内消費分のほとんどが国内で精製され、輸入は1割程度。主な輸入先は韓国だ。だが、経産省などによると、中東情勢をめぐる混乱の長期化に伴い、灯油確保を不安視した事業者が過剰発注。そこに世界的な精製能力の低下による輸入灯油の価格上昇も加わり、記録的な急騰につながっている。
北海道は国内産に比べ割安だった輸入灯油を仕入れる業者が多かった事情もあり、それが価格高騰の要因の一つになっているとみられる。石油情報センターによると、10月13日時点の1リットルあたりの店頭価格は155.5円で全国平均よりも約13円高かった。
政府は販売量の確保と価格対策を強化
赤沢亮正経産相は10月16日の閣議後会見で「灯油を含む石油製品は日本全体で必要な量を確保できており、供給不安に陥る状況にはない」と強調。「一部で冬季の灯油の供給不安が広がっていることを踏まえ、対策を強化する」と述べた。
経産省は16日、売り手である石油元売り会社と買い手である卸売事業者の双方に対して、灯油の販売量を前年と同水準とするよう要請。医療や農業などの需要家が灯油を確保できない場合は、卸売事業者を介さずに供給する「直販スキーム」も設けた。
価格面では、11月から国内で精製した灯油の卸売価格との差額を支給することで、輸入品の価格上昇が販売価格に波及するのを抑える。政府関係者は、今春に国内で広がった石油化学製品の原料ナフサの供給不安への対応を引き合いに「不安から多めに買おうとする人が増えると、価格が上がってしまう。量は確保できているので、落ち着いて対応してほしい」と話している。