都市ガス大手がe―メタン開発強化、コスト課題も
都市ガス大手e―メタン開発強化、コスト課題

都市ガス大手が、環境負荷の小さな次世代エネルギーとして期待される「e―メタン」の開発を強化している。既存のガス管網が使え、大規模な投資が不要となる強みを持つ一方、現状では都市ガスの数倍となる製造コストの引き下げが課題だ。

大阪ガス、世界最大級の設備を公開

大阪ガスは10日、新潟県長岡市にあるe―メタン製造設備を報道陣に公開した。近くの天然ガス生産拠点で出た二酸化炭素(CO2)を県外から運び込んだ水素と反応させてメタンを合成。天然ガスと混ぜて既設のパイプラインに流し、別の拠点で都市ガスに加工した上で、家庭などに供給している。

設備は、天然ガス生産拠点を運営するINPEXと2月から実証運転を始めたもので、年間生産能力は一般家庭約1万戸分のガス消費量にあたり、世界最大級の規模となる。今後はCO2と水素を反応させる触媒の劣化などを確かめていく。担当する大阪ガスの横山晃太氏は「クリーンな国産エネルギーの供給体制を確保する重要性は高まっている。現時点では思った通りの成果が出ている」と話す。実証は今年度末まで行われ、その後の開発体制についても検討を進めているという。

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各社の実証と「地産地消」モデル

e―メタンは、昨年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画でも活用が推奨された。東邦ガスは自動車部品大手のデンソー、アイシンと連携し、両社の愛知県内の工場から出た排ガスをもとに、同県知多市の拠点でe―メタンを製造する実証に着手した。作ったe―メタンは両社に供給し、地域で排出されたCO2を燃料にする「地産地消」モデルの確立を図る。

東京ガスは、東京都と連携し、下水の汚泥から抽出したCO2を使ってe―メタンを製造する実証を始めた。

コストと普及の課題

本格的な普及に向けては、製造コストが最大のハードルとなる。製造に使う再生エネルギー由来などのクリーンな水素は量が限られ、その運搬や貯蔵には、専用設備を要するため、費用がかさむ。現状では、都市ガスの5倍程度に上るとされる。一方で、エネルギー源としての機能は都市ガスと変わらないため、e―メタン製造に関わるコスト上昇分を、消費者が最終価格の値上がりとして受け入れるかは不透明な状況にある。

政府はこうした現状も踏まえ、e―メタンの2030年度の国内での導入規模について、食品廃棄物などから作るバイオガスと合わせても都市ガス供給量全体の1%程度にとどまるとみる。50年を目標とする脱炭素化は待ったなしの状況だ。大阪ガスなどは北米で製造事業に参入するなど、調達先の多角化も図り、コスト削減を進めていく方針だ。

◆e―メタン=二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギー由来の水素を反応させて生成するメタン。燃やすとCO2が出るが、製造工程で同量のCO2を消費することで、排出量を実質ゼロとみなす。大阪・関西万博では、迎賓館の調理場で利用された。

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