卵の小売価格が過去最高値に並ぶ、冬場の鳥インフル懸念でさらなる高騰も
卵の小売価格が過去最高値、冬場の鳥インフル懸念も

「物価の優等生」と呼ばれる卵の高値が続いている。農林水産省の調査で、9月の全国平均小売価格は1パック(10個入り)309円と過去最高値に並んだ。中東情勢を背景とした飼料価格の上昇など、生産コストの増加が主因だ。

スーパーの現場では買い控えの声

東京都練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」では、Mサイズの卵1パックが税込み289円で販売されている。40歳代のパート女性は「以前は1週間に1回は買っていたけれど、最近は高いので買う頻度を減らしている」と話す。

同店では毎週日曜日に特売として税込み88円で販売しているが、秋葉弘道社長は「年間通して卵は赤字。しんどいが、広告費のカットや人件費を調整して対応している」と明かす。

飼料価格の上昇が続く

JA全農は中東情勢の悪化や円安などを理由に、10~12月期の飼料供給価格を1トンあたり平均で約3200円引き上げることを決めた。値上げは4期連続となる。

今シーズンに鳥インフルエンザが流行すれば、品不足やさらなる価格高騰につながるとして、関係者は警戒を強めている。国内では2020年以降、6シーズン連続で鳥インフルエンザが発生。22年シーズンには過去最多の約1771万羽が殺処分され、「エッグショック」と呼ばれる事態に陥った。

供給安定に向けた取り組み

こうした事態を受け、生産者団体や民間企業が連携し、供給の安定化や流通の効率化に取り組んでいる。長期保存できる冷凍卵の活用拡大に向け、保管場所の費用負担のあり方などについて検討を進めており、26年度中に提言をまとめる方針だ。

国内最大規模の年間約25万トンの鶏卵を使用するキユーピーは、調達エリアや提携先の分散を進め、23年からは平常時でもブラジル産の輸入卵を購入。液卵製造大手のイフジ産業は30年度までに、冷凍を含む液卵の販売量を現在の約6.7万トンから8万トンまで引き上げる目標を掲げる。

ワクチン接種導入の検討も

供給の安定には鳥インフルエンザの発生を抑制することが重要で、農水省はワクチン接種導入に向けた検討を進めている。元東京農業大教授の信岡誠治氏は「養鶏農家の防疫対策では限界がある」と指摘し、「実効性のある対策を進めるべきだ」と語った。