福岡市の企業「共育パレット」が、学校と社会・地域の橋渡し役として、出前授業を調整する事業に取り組んでいる。元小学校教員で同社を代表する松下ゆか理さん(43)が、2023年から「共育コーディネーター」として活動を開始。これまでに福岡を中心に佐賀、長崎、東京、神奈川などの約50校で、約150回・約8000人の子どもたちに出前授業を実施した。
企業や団体から85以上の協力
「SPOT TEACHER」と名付けたこの取り組みでは、九州電力やピエトロといった企業をはじめ、建設、医療、起業家、アスリートなど85以上の企業・団体から協力を得ている。松下さんは、教員時代の経験から「外部の人に頼っていいんだ」と感じたことが原体験だと話す。
家庭科でミシンを教える際、一斉指導の難しさを感じた松下さんは、服飾を学ぶ近くの高校の生徒に教えを依頼。子どもたちが目を輝かせ、高校生も専門性を生かして喜んだという。この経験が、事業開始のきっかけとなった。
多忙な教員と企業の橋渡し役に
松下さんは、ICT教育など新しい指導要領に追われる中で、多くの教員が専門性のない分野の指導に戸惑いを抱えていると指摘。国が「社会に開かれた教育課程」を掲げ地域連携を求める一方、人員不足で多忙な教員には企業や地域との調整の余力がないと語る。
また、企業側も人材確保に直結しにくい小学校には縁遠いという問題意識があった。がんを患い、コロナ禍も重なって働き方を見直す中で、自身が橋渡し役となり、学校と社会をつなぎ、子どもたちに学びの機会を届け、教員を助ける挑戦を決意した。
講師確保から実績を積み重ねる
松下さんは講師役の確保から始め、インターネットやイベントで様々な分野で活躍する人を探し、活動の趣旨を直談判。学校側は慎重だったが、教員時代の同僚にも依頼して、少しずつ実績を重ねてきた。