資産運用に取り組む人の中には、日々の相場の動きや運用成績が気になり、ストレスを感じる場面が増えたという人もいるでしょう。将来の暮らしを豊かにするための資産運用によって、現在の心の「リソース」が削がれているとすれば、望ましい状態とは言えません。
「メンパ」とは何か
最近、コスパやタイパに続き、心の安定や精神衛生上の効果を重視する「メンパ(メンタルパフォーマンス)」という考え方が注目されています。単に効率の良し悪しや費用の高低ではなく、自分の心を安定させたり気分を上げたりするかどうかという視点を指します。例えば、「家賃は少し高くなるが、満員電車のストレスを避けるため職場の近くに住む」といった考え方が当てはまります。
資産運用におけるストレス
将来のための資産運用はコツコツ続けることが大切ですが、日々の値動きに一喜一憂して心のリソースを削られると、続けることが負担になるかもしれません。例えば、株価が大きく動いたニュース速報で仕事中でも運用状況が気になったり、経済ニュースを見て慌てて売買し後悔した経験はないでしょうか。本来は仕事や生活に向けたいエネルギーを消耗しないためにも、資産運用に「メンパ」の視点は大切です。
努力と成果は比例しない
ストレスを感じても、勉強や仕事のように努力が成果につながるのであればリソースを割く価値はあるかもしれません。しかし、資産運用はかけたリソースに比例して利益が出るとは限りません。多くの時間と手間をかけて情報を収集し分析した銘柄よりも、「何となく」買った銘柄の方が大きく値上がりすることもよくあります。リソースを割いた結果、資産が目減りしたり想定した利益が得られなかったりすれば、ストレスだけが溜まります。
メンパを高める運用術
資産運用に向き合うことでメンパが低下しているなら、心のリソースを割かなくても続けられる仕組みをつくることをおすすめします。例えば、資産運用サービスのアプリからの通知や経済ニュースの速報の設定をオフにすることも一案です。資産運用は将来の自分を豊かにし、人生の選択肢を増やすための手段です。将来のために現在の幸福度や心のゆとりが削られないよう、自分のタスクリストからあえて外す戦略をとってみてはどうでしょうか。時間だけでなく心にもゆとりを持ち、仕事やプライベートなど今大切にしたいことに全力で向き合えるようにすることをおすすめします。
(牛山 史朗:ウェルスナビ 執行役員 リサーチ&クオンツ)



