国立成育医療研究センターのチームは9日、血液を作り出す骨髄の機能を備えた立体臓器「骨髄オルガノイド」を人のiPS細胞から作製することに成功したと発表した。マウスに移植すると、血液細胞や免疫細胞を作ることも確かめたという。白血病の治療法などにつながる成果という。
作製方法と移植実験の成果
チームは、健康な人のiPS細胞に化学物質を加えて約2週間培養するだけで、人の骨髄と同じ機能を持つ骨髄オルガノイド(全長約2ミリ・メートル)を作製する独自の方法を開発。従来の方法よりも、短時間で容易に作製できるようになった。
この骨髄オルガノイドをマウスに移植すると、人の赤血球や骨の組織が形成されたほか、本来は心臓近くの胸腺で作られる免疫細胞の一種「T細胞」が出来ることを確認した。さらに、免疫細胞などへの変化を促す性質を持つ細胞を骨髄オルガノイドから抽出することにも成功したという。
今後の医療応用への期待
白血病など重い血液疾患の治療では、血液になる造血幹細胞を提供者の骨髄から移植する方法があるが拒絶反応のリスクもある。
同センターの阿久津英憲・再生医療センター長は「オルガノイドで病気の状態を再現すれば治療法開発に活用できる。作製した血液細胞を移植医療に応用できる可能性もある」と話す。
京都大の池谷真准教授(幹細胞生物学)は「基礎科学的にも臨床的にも意義のある成果だ。作製したT細胞が実際にどの程度機能するかなど、今後の研究の進展が期待される」と話している。



