スイス北部チューリヒで9月3日、ユニークで奥深い研究をたたえる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が行われた。鼻の正しいかみ方を実験で特定した旭川医科大(北海道)の故・海野徳二名誉教授が医学賞を、栄養豊富な「ミルク」で子どもを育てるゴキブリを調べた日米欧などのチームが化学賞を、それぞれ受賞した。日本の研究者の受賞は20年連続となる。
故・海野徳二氏の鼻のかみ方研究
海野さんは男性15人を対象に鼻をかむ際に鼻の穴から出る空気の速度や量、耳の穴の圧力を測定した。片側の鼻の穴を抑えながら強くゆっくりかむと、効率よく空気を吐き出せることを突き止め、1977年に国内の学会誌に病気予防にもつながる成果として発表した。
授賞式には、2022年に89歳で亡くなった海野さんの代理で門下生の高原幹・同大教授(56)が出席し、スピーチで海野さんの呼吸分野での貢献などを説明した。高原さんは授賞式後、「日常の動作を学問的に突き止めた点が評価されたのだと思う。(海野さんも)喜んでくれているのでは」と笑顔で語った。
ゴキブリのミルク研究で化学賞
化学賞に選ばれた高エネルギー加速器研究機構(茨城県)のレオナルド・シャバス元助教(47)らのチームは、体内で子どもを育てる特殊なゴキブリに注目。このゴキブリは母親が子供に「ミルク」のような液体を与える。子どもの体内で結晶化した物質を分析したところ、アミノ酸や脂質、糖質などが凝縮され、同量の牛乳と比べて3倍以上のエネルギーが含まれていた。シャバスさんは「楽しみながら続けてきた研究が認められてとてもうれしい」と喜んだ。
授賞式の開催地変更と今後の予定
イグ・ノーベル賞は1991年に創設されたノーベル賞のパロディー版で、授賞式は米国で例年開かれていた。トランプ米政権による強硬な国境政策を背景に、米国外の受賞者が昨年の授賞式を相次いで欠席したため、今年はチューリヒでの開催となった。来年はベルギー・アントワープで開く予定という。



