鹿児島県霧島市に自宅兼工房を構えるバードカービング作家の畠野尚利さん(80)は、約40年間で数千体以上の野鳥の木彫り作品を制作してきた。独学で技術を磨き、作品は鳥の生態を知る資料としても役立っている。
独学で始めたバードカービング
畠野さんは約40年前にバードカービングに関する本を集めて勉強を始めた。材料や工具集めなど全て我流で、仕事を辞めてからは1か月で30~40体を作るという。最初は身の回りの鳥を作っていたが、鳥の図鑑を何冊もそろえ、見たことがない海外の鳥も作るようになった。20年ほど前からは展示会も開いている。
作品は小学校の教材に
これまでに霧島市の小学校を中心に8校へ作品を寄付した。地域で見られる身近な鳥を40~50種選んでおり、子どもたちが外で鳥を見た時に「見たことある鳥だ」と気づいて興味を持ってほしいと話す。剥製の代わりとして教材に活用されている。
こだわりは「自然のままの姿」
作品のこだわりは、鳥をよく観察して実物に近づけること。鳥は首が曲がっているため、図鑑に書いてある長さから1割ほど引いた大きさで作る。例えばスズメは図鑑に14センチとあるが、作品は12センチ。庭でハイタカがスズメを捕っていた場面をそのまま作品にしたこともあるという。
庭に毎日餌をまいてスズメを観察したり、孵卵器で卵をかえしてキジ科のハッカンを8羽飼ったりしている。あえて遠回りをして山道にヤマドリを探しに行くこともあり、実物を観察することの大切さを強調する。
今後の目標と教育への思い
子どもたちには出前講座で鳥の習性や体のつくりを教えており、やりがいになっている。今後はアマゾンなどに生息する海外の鳥を作ってみたいと語る。制作を楽しみながら、作品が教育の役に立てばうれしいと話している。
畠野さんは霧島市出身で、ガラス会社に勤務しながらバードカービングを始めた。これまでに湧水町の轟小や霧島市の福山小、大和村や十島村に作品を寄付・寄贈した。夕方に焼酎のお湯割りを1杯飲むことが日課で、元気の源だという。