不安定化する氷河が高山帯を脅かす ネパール以外にも「時限爆弾」
不安定化する氷河が高山帯を脅かす ネパール以外にも「時限爆弾」

ネパールと中国の国境地帯で起きた大規模な土石流災害から1カ月。世界の高山地帯が温暖化のリスクにさらされている厳しい現実が改めて浮き彫りになった。氷河の融解だけでなく、山そのものの不安定化が「時限爆弾」のように地域を脅かしている。

温暖化で山岳環境が変化

今回の土石流の背景には、温暖化による氷河の縮小に伴う山岳環境の変化がある。異常気象を分析する国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」(WWA)は、今回の災害について「長期的な温暖化や、降雪が降雨に変化したことで、氷で満たされた亀裂や岩のつながりが弱まり、斜面が不安定になった可能性がある」と分析した。

ヒマラヤでは気温上昇が世界平均を上回り、従来の方策だけでは対応できない規模の災害が起きつつあるという。

世界各地でリスク高まる

この傾向はヒマラヤだけではない。アラスカ、アンデス、アルプスなど各地で、氷河の後退によって支えを失った岩盤や永久凍土が不安定化し、崩壊や土石流の危険が高まっている。

世界気象機関(WMO)の2025年の発表によると、世界には27万5千カ所を超える氷河があり、その面積は約70万平方キロメートルに及ぶ。氷床と合わせて、氷河は地球上の淡水資源の約70%を蓄えている。しかし、温暖化により減少が加速している。WMOは「多くの地域の氷河は21世紀を生き残れない」としている。

スイス・アルプスでは25年、同様の岩氷雪崩によってブラッテン村の大部分が埋没した。事前に、落石や地滑りが増えるなど崩壊の兆候があったため、付近の住人約300人全員に避難命令が出された。避難区域外の羊飼いの男性が亡くなった。

緊急会合で対応協議

土石流を受けて、ネパール政府と国際統合山岳開発センター(ICIMOD)は9月、中国やインドなど周辺国やスイスの災害対応をした専門家を集めた緊急会合を開いた。ICIMODのペマ・ギャムツォ事務局長は「ヒマラヤで崩壊を待つ氷河はあとどれだけあるのか」と問いかける。

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