日本電気硝子は、人工衛星などに用いる宇宙用超薄板カバーガラスの製品ブランド「Starveil(スターベイル)」の新製品として、放射線による着色を抑制した「BDX-3」を開発したと発表した。
同製品は、宇宙空間で放射線を受けた際に生じるガラスの着色を抑え、光透過率の低下を緩和できることを特徴とする。また、同ブランドの従来品「BDX-2」と比べて紫外線遮蔽性能も向上させた。
低軌道で運用する人工衛星を中心に、中軌道や高軌道を含む幅広い宇宙環境での利用を想定する。すでに有償サンプルの販売を開始しており、今後は人工衛星などへの量産採用を目指すとしている。
人工衛星の太陽電池などを宇宙環境から保護
人工衛星に搭載される太陽電池をはじめとした各種機器は、宇宙空間で強い紫外線や放射線にさらされる。
人工衛星が利用される軌道は目的によって異なる。低軌道は地球観測や通信、中軌道は測位、高軌道は通信や気象観測などに用いられている。
こうした宇宙環境で利用するカバーガラスには、紫外線や放射線から精密機器を保護する機能に加え、放射線を受けた後も高い光透過性能を維持することが求められる。
ガラスに放射線が照射されて着色が生じると、光透過率が低下する可能性がある。人工衛星の太陽電池を覆うカバーガラスでは、入射する光が遮られることにつながるため、長期間にわたって透過性能を維持できる材料が必要となる。
BDX-3は、放射線照射に伴うガラスの着色を抑制することで、低軌道から中高軌道までの幅広い宇宙環境への対応を図った製品となる。
波長300nmの透過率を20%から0.1%へ低減
BDX-3は、従来品のBDX-2よりも紫外線の透過を抑え、高い紫外線遮蔽性能を実現した。
板厚100μmの場合、波長300nmにおける光の透過率は、BDX-2が20%であるのに対し、BDX-3では0.1%となる。透過率が低いほど、その波長の光を通しにくく、紫外線を遮る性能が高いことを示す。
波長300nmは紫外線の領域にあり、BDX-3は従来品と比べて人工衛星に搭載される太陽電池などの機器を紫外線から保護する性能を高めたことになる。
放射線による着色を抑えて光透過率の低下を緩和する一方、機器へ影響を与える紫外線については透過を抑えることで、人工衛星などの精密機器の長寿命化につなげる。
使用環境に応じて異なる光学特性の製品を展開
Starveilは、人工衛星の太陽電池をはじめ、宇宙空間で使用する各種機器を対象とした超薄板カバーガラスの製品ブランドである。
過酷な宇宙環境から精密機器を保護する紫外線遮蔽性能を備え、機器の長寿命化に貢献することを目的としている。また、使用する宇宙環境や、機器に求められる光の透過特性などに応じた製品を展開している。
今回のBDX-3では、従来品から紫外線遮蔽性能を高めるとともに、放射線による着色を抑制したことで、低軌道だけでなく、測位衛星が運用される中軌道や、通信・気象観測衛星などが運用される高軌道を含む用途への展開を目指す。
日本電気硝子では今後、有償サンプルを通じて人工衛星や宇宙機器における評価を進め、量産採用につなげていくとしている。