食虫植物コモウセンゴケ、葉の食害経験を記憶し花を閉じる防御を確認
食虫植物、葉の食害を記憶し花を閉じる防御を確認

鳴門教育大学や兵庫県立人と自然の博物館などの研究チームは、天敵となる虫に葉を食べられた後、その虫が再び接近した際に花を閉じて内部を守る植物がいることを確かめたと発表した。葉の食害経験を植物が「記憶」している可能性を示す成果で、論文は国際科学誌に掲載された。

コモウセンゴケの生態と天敵

チームが調べたのは、小型の食虫植物「コモウセンゴケ」。葉の表面から粘液を出し、虫を捕らえて養分を得る。本州の一部や四国、九州などに分布し、徳島県や京都府などでは絶滅が危惧されている。

特定のガの幼虫はこの粘液に耐性を持ち、葉や花を食べる天敵となっている。コモウセンゴケはこの幼虫が花に近づくと、花を閉じて防御する動きを見せるが、どのようなメカニズムで天敵の接近を感知しているかは不明だった。

実験で確認された防御行動

同大の田川一希准教授(進化生態学)らは、幼虫が葉を食べた後に花へ移動することに注目。葉を人為的に切除した翌日、花の下をピンセットで刺激して幼虫の移動を再現する実験を行い、葉を切らなかった場合と比較した。

その結果、葉を切った群は刺激を与えた15分後、切らなかった群と比べて花を閉じる傾向が強まることが判明した。花の内部には種子になる部分があり、コモウセンゴケが葉を食べられた経験を基に、花に近づく虫から身を守ろうとした可能性があるという。

今後の検証課題

田川准教授は「脳を持たない植物にも、食害の経験を防御行動に利用する生態があることを示すことができた。どのくらいの期間、そうした経験が保持されるかなどを今後検証したい」としている。

豊田正嗣・埼玉大教授(植物生理学)は「興味深い成果だ。『記憶』の実態を解明し、その仕組みをうまく利用できれば、種の保存にもつながっていくのではないか」と話している。