植物プランクトンの半年後の増減予測に成功、JAMSTECが世界初の成果
植物プランクトン半年後の増減予測に世界初成功

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究チームは、2026年11月から2027年1月までの平均的な表層クロロフィル濃度を予測した。クロロフィルは植物プランクトンが持つ光合成色素(葉緑素)で、その濃度は植物プランクトン量の指標となる。予測図では、平年より濃度が低くなる海域を青、高くなる海域を赤で示している。

海の食物連鎖を支える「小さな土台」

植物プランクトンは肉眼ではほとんど見えないほど小さいが、光合成をしながら海を漂い、動物プランクトンの餌となり、さらに魚へと続く食物連鎖を支える。その増減は、魚の分布や漁獲量にも影響する可能性がある。

研究チームは「天気予報が雨や気温の先行きを伝えるように、この小さな、でも大事な生物の半年先を見通せないか」と考えた。JAMSTECが開発してきた気候予測システムに、植物・動物プランクトンや栄養塩などの動きを計算する海洋低次生態系モデルを組み合わせ、スーパーコンピューターを用いて予測実験を実施した。

熱帯太平洋西部で高い精度を確認

人工衛星の実測観測データと照らし合わせながら実験結果を検証したところ、熱帯太平洋西部では、約半年後の植物プランクトン量の指標である表層クロロフィル濃度を高い精度で予測できることが判明した。海水温などが変化すると、植物プランクトンの成長に必要な栄養分の分布も変わる。この「小さな土台」の予測が、ある程度は可能であることが示されたのは世界で初めてという。

漁業管理への応用を目指す

JAMSTECは今後、カツオなどの生息域を推定するモデルとの連携を進め、漁業管理や食料供給計画に役立てることを目指して研究を進める。研究成果は、アメリカ気象学会発行の国際学術誌「ジャーナル・オブ・クライメート」電子版に8月27日付で掲載され、同日、JAMSTECが発表した。