どこの家庭にもある電子レンジに使われる「マイクロ波」の技術を究めた会社が大阪にある。商社の元社員と大阪大学の研究者の出会いをきっかけに設立され、世界中の化学産業に変革の波を起こそうと独自の技術を磨き続けている。
商社マンから起業家へ
吉野巌社長(59)は元々、化学品を扱う大手商社の社員だった。大型タンカーで運ぶ石油原料の取引などを担当していたが、入社から10年たった2000年に会社を辞め、米国のビジネススクールに留学した。
当時、米国ではわずか数年前に起業したグーグルが世界最大級の検索エンジンをつくり、広告事業も始めていた。個人のアイデアで世界が動くダイナミズムを肌で感じ、起業を志した。
阪大研究者との出会い
06年に帰国。大学などを回って新しい技術の種を探していたころ、知人から紹介されたのが、後に共同創業者となる塚原保徳CSO(最高科学責任者、52)だ。阪大のマイクロ波の研究者で、自分の研究を社会に出したいと願っていた。すぐに意気投合し、07年夏に京都市の自宅マンションで会社を立ち上げた。
マイクロ波とは、ある周波数の電磁波で、電子レンジに利用されている。この技術を化学反応に応用することで、従来の加熱方法に比べて効率的に化学反応を促進できる可能性があるという。
化学産業への変革の波
同社はこのマイクロ波技術を化学プラントに応用し、世界で初めての実用化を目指している。従来の化学プロセスに比べてエネルギー消費を抑えられるほか、反応時間の短縮や収率の向上が期待されるという。
化学産業は石油化学を中心に、プラスチックや医薬品、肥料など幅広い分野に影響を与える基幹産業だ。同社の技術が確立されれば、製造プロセスの効率化だけでなく、環境負荷の低減にもつながるとみられる。



