フィジカルAIは〝お家芸〟進化の切り札 デジタル敗戦挽回へ社会実装「10年の計」
フィジカルAIはお家芸進化の切り札 デジタル敗戦挽回へ長期戦

日本がお家芸と自負する産業用ロボットや自動化工場を進化させる切り札として期待されているのが、人工知能(AI)で機械を自律的に動かす「フィジカルAI」だ。「デジタル敗戦」といわれるほど最先端技術への対応で米国や中国に後れを取る中、社会実装に向け10年単位とされる長期戦が始まっている。

プログラム不要のロボットアーム

10月13~16日に千葉・幕張メッセで行われた「CEATEC(シーテック)2026」で、アマゾン・ウェブ・サービスジャパンが披露した安川電機と開発したロボットアーム。担当者がマイクで「カレーに必要な野菜を選んで」と伝えると、並んだ食材から必要なものを選び、買い物かごに入れてみせた。

フィジカルAIは目的を与えれば必要な工程を自ら考え実行する。従来の機械のように動作を一つ一つプログラムする必要がないのが長所だ。工場や物流、介護といった労働集約型の産業に広がれば、人手不足解消や生産性の向上が見込める。

熟練技術の継承へ

フィジカルAIの課題とされるのが、繊細な作業や変化への臨機応変な対応だ。村田製作所は解決に向け、新興企業メルト・インターフェイス・テクノロジーズ(東京)と、人の指先の動きを把握して学習する手袋を開発した。熟練工が手袋を着けて作業することでAIが学習し、ロボットが同じような繊細な動きをできるようになる。担当者は「技術継承問題の解決につながる」と話す。

「CEATEC2026」では、三菱電機がフィジカルAIの音声認識能力を高める技術も披露した。社会実装に向けた取り組みは各社で進んでおり、10年単位の長期戦が続く。