政府、ゲノム・医療・金融の情報提供に事前審査導入へ 経済安保法改正案提出目指す
政府、ゲノム・医療・金融の情報提供に事前審査導入へ

政府は、安全保障上重要な情報の流出を防ぐ「データセキュリティー」を強化する方針を固めた。ゲノム(全遺伝情報)、医療、金融の3分野を対象に、個人に関する機微情報を保有する民間事業者から第三者への提供に国の事前審査を導入する方向で検討している。政府は来年の通常国会に経済安保推進法改正案の提出を目指す。

有識者会議で審査案提示

政府は16日に開いた「経済安全保障法制に関する有識者会議」(座長・青木節子千葉工業大特別教授)で、機微情報を大量に扱うゲノム、医療、金融の3事業者に対し、国の事前審査を導入する案を示した。案では、データの処理・保存を行う情報システムの契約や血液など生体試料・情報の提供が審査の対象となる。

小野田経済安保相は会議で、企業や行政機関に対する不正アクセスで情報流出が相次いでいることに危機感を示し、「(情報の)防護がより重要になっている。必要な措置について検討していく」と強調した。政府は有識者会議が年内にも取りまとめる提言を踏まえ、強化策を具体化する。

流出時の悪用リスク

政府が安保上重要な情報の保護に向けた検討を急ぐのは、他国や第三者に流出した場合、日本国民に対する脅迫や詐欺、諜報活動に悪用される恐れがあるためだ。ゲノムは病気の発症リスクが特定され、医療は病気の治療歴や通院歴などが分かる。金融は個人の資産やローンの返済状況が把握され、不正送金に悪用される可能性もある。

例えば、周囲に知られたくない病気にかかっていることが第三者に伝わり、職場やSNSで公表すると脅されて重要情報や金銭を奪われるケースが考えられる。米国では、住宅ローンの返済などで困窮する米中央情報局(CIA)の元職員が中国の情報機関に機密情報を提供した事件が発覚した。

海外の動向と今後の方針

海外では対策が進んでいる。米国では懸念国による機微情報へのアクセスを規制し、中国もゲノム情報の海外提供を制限している。政府は、人工知能(AI)の開発などデータの利活用との両立を図っていく方針だ。