ミズノは、ロードレース向けレーシングシューズ「ハイパーワープ」シリーズの最新5モデルを発表した。最上位の限定販売モデルは、重さ約96グラム(27センチ片足)と世界最軽量をうたい、国内外のトップレベルのマラソン選手らによる記録更新を後押しする。一般向け販売には、約135グラム(同)の軽量・高反発タイプなど4モデルを取りそろえる。
箱根駅伝でのシェア拡大を狙う
ミズノは年明けの東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で着用率10%超(20人以上)を狙っており、ハイパーワープ着用選手の活躍をテコに市場でのシェア拡大を目指す。
マラソン界ではシューズの高性能化に伴う記録ラッシュが続いており、国内外のメーカーが技術開発にしのぎを削っている。しかしミズノは、今年(2026年)の箱根駅伝で着用されたのが出場全200選手中1人にとどまるなど、苦戦が続いてきた。このためランニングシューズの開発やプロモーションの体制を強化。昨年発売したハイパーワープシリーズの第2弾を投入し、巻き返しを図る。
世界最軽量の「ハイパーワープ96」
一般販売される主要3モデルは、駅伝のたすきをイメージして、アッパー(甲被)のかかと部分からソールの前足部にかけて帯状のデザインが施された。
約96グラム(27センチ片足)と競合他社よりさらに軽い“決戦用シューズ”。アッパー部分は足型にポリウレタンを吹き付けて成形し、くつひもはなく、ソックスのように着用する。部位によって強度を変え、軽さとフィット感を両立したという。靴底は固いゴムを極限まで減らし、軽量化されている。耐久性は走行100キロが目安という。
想定するスピードは1キロ2分45〜50秒と超高速。トップ選手に供給され、記録更新や勝利を狙う。世界696足限定販売で、8万8000円(税込)。12月4日にミズノ公式オンラインストアとミズノ直営店で発売する。
一般向け4モデルのラインナップ
「ハイパーワープ ピュア2」は、エリートランナー向けに軽さと反発力を追求。ソールには、反発力をより高めた新素材「ミズノエナジーXP+」を全面的に採用した。ソールの厚さは前足部35ミリ、後足部38ミリで、従来モデルより3.5ミリ厚い。ソールの内部にカーボンプレートを搭載し、推進力と安定感を高めた。重さは135グラム(27センチ片足)で、従来モデルより2グラム軽量化。11月6日発売、3万5200円(税込)。
「ハイパーワープ エリート2」は、ピュア2と基本的な構成は同じで、カーボンプレートも搭載。軽さ、安定性、走りやすさなどのバランスを重視した。フルマラソン3時間切り(サブスリー)を目指すランナーがターゲットだ。重さは160グラム(27センチ片足)で、従来モデルよりも10グラム軽い。11月6日発売、2万9700円(税込)。
「ハイパーワープ レーサー」は、フルマラソンで3時間から4時間を目指すランナー向け。ソールは高反発素材を内側に、安定感のある素材を外側に組み合わせ、履きやすさと安心感を高めた。剛性を抑えた独自のカーボンプレートを搭載し、重さは200グラム(27センチ片足)。12月10日発売、2万2000円(税込)。
「ハイパーワープ ペーサー」は、さまざまなレベルのランナーがトレーニングで使用することを想定。足裏全体に及ぶカーボンプレートは、足に負担がかかりやすいため搭載せず、土踏まずの部分にのみ剛性を確保するパーツを搭載している。重さは約205グラム(27センチ片足)。12月10日発売、1万8700円(税込)。
記者の試走と開発ポリシー
10月8日、東京都江東区で新型ハイパーワープ発表イベントが開かれ、筆者は「ハイパーワープ レーサー」を履いて試走した。試走では1キロ当たり5分から4分20秒前後と、シューズが想定する速度域で走行。最初に感じたのは、ソールが前方に転がるように進む感覚が強いことだ。
ソールの前方が反り上がり、着地後に前方へ転がるように進むのは、近年の高速レーシングシューズの定石といえる。ただ、転がり感が強すぎると、接地の安定感を損なったり、ソールによる衝撃吸収や反発を十分に得られなかったりする恐れもある。ハイパーワープ レーサーは、転がり感と安定感、反発力のバランスに優れ、厚底やカーボンプレートを意識せずとも自然にスピードアップできた。
一方、上位モデルの「ハイパーワープ ピュア2」も少し試し履きした。こちらは軽さと反発力が際立っているが、足を入れたときのフィット感や、基本的な走行フィーリングはハイパーワープ レーサーと似ている。ミズノの開発担当者は「ハイパーワープの全モデルで、ほぼ共通の足型を採用し、同じような感覚で走れるようにした」と説明する。
シリーズを通して同様の体験を提供する開発ポリシーの徹底は、ハイパーワープシリーズの大きな特徴と言える。各モデルの相違点は、想定ペースに合わせてソールなどの素材や成形方法を変え、軽さ・反発力・安定感・価格のバランスを調整していることだ。
10月17日に開かれる箱根駅伝の予選会に向けて、ミズノの担当者は「近年にない人数のランナーに履いてもらえるはずだ」と自信を見せる。トップ選手の信頼を勝ち取ることができれば、一般ランナーの市場にも浸透できる。これから冬にかけての駅伝・マラソンシーズンは、シューズメーカーの競争からも目が離せない。