甲子園のアルプススタンドからの応援といえば、ブラスバンドが定番だ。記者はかつて楽器に打ち込んだ経験があり、野球部の応援にあこがれていた。今回、機会を得て初めて実際に足を運び、旋律は単なる応援の伴奏ではなく、選手とともに戦う「ナインプラスワン」そのものだと感じた。
6人の部員に集まった約70人の演奏者
今大会が初出場だった東日大昌平(福島)の吹奏楽部員はわずか6人しかいない。これでは演奏が難しいため、インターネットを通じて演奏者を募ったところ、県内外から約70人が集まった。
初対面の大人たちに緊張した部長の酒井鈴奈さん(18)は「自分たちの演奏で野球部のやる気を引き出したい」と力を合わせた。チームは16強まで進んだ。
プラカードで指示を送る奏者の思い
佐野日大(栃木)の2年生、新名美海さん(17)はバスクラリネット奏者だが、暑さに弱い木管楽器は外での演奏が難しいため、プラカードで指示を送る役に回った。「演奏したい気持ちもあったけど、任されたからにはやってやろう」と笑顔とともに両手で大きくプラカードを部員に掲げながら声援を送った。
「1年生の時の担任の先生が野球部の顧問だった。同じクラスにも野球部の子がいて、授業中に話して野球って面白いと思った」。画面越しの甲子園は、特別な天才が集う遠い場所のように見えていた。
楽器を構える一人一人の物語
取材を進めると、楽器を構える一人一人にも物語があった。戦う気持ちに違いはない。1年生記者の心は大きく揺さぶられた。



