阪神が就任2年目の藤川監督の下、巨人との激しい争いを制し、球団初のセ・リーグ連覇を成し遂げた。その原動力となったのが、不動の1番打者・近本光司の存在だ。死球による左手首の骨折で約2か月半離脱したが、復帰後はチームの攻撃を大きく変えた。
離脱中は負け越し、復帰後は勝ち越し
近本の離脱中、高寺や福島ら若手が代役を務めたが、チームは26勝27敗と振るわなかった。一方、近本の復帰後は36勝25敗1分けと勝ち越しを記録。和田ヘッドコーチは「成績はもちろん、近本がいることで、味方への安心感や相手への重圧が違った」と振り返る。
7月11日のヤクルト戦(甲子園)で約2か月半ぶりに復帰した近本は、同点の九回一死から中前打で出塁。中野の四球で二塁へ進み、森下の左前打に守備のミスが絡んだ隙を逃さず、サヨナラのホームを踏んだ。1、2番が好機を作り、中軸で走者をかえす阪神らしい攻撃の起点となった。
「与えられた役割に集中」
規定打席には満たないものの、近本の打率は3割5厘。一回の打席に限れば、4割1分5厘まで跳ね上がる。リーグトップの105打点を挙げる佐藤、84打点で並ぶ2位の森下、大山はいずれも一回の打点が最も多く、3人で66打点を稼いだのも、近本の働きによるところが大きい。
「与えられた役割で力を発揮することに集中すれば、結果的にチームのためになる」と近本は語る。2番の中野もリーグトップの27犠打を決め、中軸への「つなぎ役」に徹した。
リーグ最強打線の秘密
打線全体をみると、チーム打率(2割4分8厘)、出塁率(3割1分9厘)がともにリーグ1位。長打率(3割7分4厘)は、DeNAにわずかに及ばない2位ながら、この5シーズンで最高の数字だ。総得点513もDeNAに次いで多い。
本塁打の出にくい甲子園を本拠とすることもあり、かつては長打力、得点力不足が課題だった。そこで、2023年に就任した岡田彰布前監督は四球を重視。出塁率を高めることで、長打率の低さを補う戦術を浸透させ、日本一へ導いた。今季はそのエッセンスを継承しつつ、一発のある佐藤、森下の成長で打線の迫力は増した。
先取点を奪った試合はリーグ最多の81を数え、59勝をマーク。近本から始まる攻撃について、自身最多の105打点を挙げる佐藤は「打点は塁に出てくれる人がいるから」と話す。不動の1番打者が「リーグ最強」の中軸の力を引き出した。(記録は3日現在)