サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3か国大会がスペインの優勝で幕を閉じ、39日間の熱戦が終わった。スター選手たちの華麗なプレーに世界中が沸いた一方、大会を陰で支えたボランティアの存在があった。
モンテレイ空港で案内役の児嶋さん
日本が1次リーグ第2戦を戦ったメキシコ・モンテレイの国際空港。現地在住の児嶋悦子さん(57)は笑顔で観光客を迎えた。国際サッカー連盟(FIFA)が募集した空港ボランティア約150人の一人で、スタジアムやホテルへの行き方を教え、タクシー乗り場への案内役を務めた。
児嶋さんがモンテレイに移住したのは約2年前。それまで暮らしていた欧州で中南米出身者と知り合い、ラテン系特有の「人の距離の近さ」に魅了された。世界中の人との交流を楽しみたい好奇心に加え、「メキシコのいい面を知ってほしい」との思いでボランティアに応募した。
「『怖い国』と思われやすいが、違う」。ライドシェアの車が来ずに困っていると、通りかかった人が運転手に電話をかけ、到着まで一緒に待ってくれたという。日常に優しさがあふれているといい、「移住してたくさんの優しさを受け取った。今度は自分が観光客にお返しする番」と感じていた。
空港の到着ロビーでスマートフォンを見つめていたり、困った様子で周囲を見回したりしている人がいれば、笑顔で声を掛けた。観戦を終えて帰路につくある日本人夫婦は、出国の際に「現地の人に親切にされ、感激した。日本に帰ったら自分たちも人に優しくしたい」と話した。
モンテレイのボランティアは最後の試合があった6月末で任務を終えた。児嶋さんは「優しい気持ちが連鎖していくのを肌で感じた」と満足そうに語った。
日本語学ぶ学生も参加
FIFAは試合会場や空港、ホテルなどで大会運営をサポートするボランティア約6万5000人を募集した。その中には日本語を話す外国人もいた。
米国に住む中国籍の大学生、姚嘉桐さん(21)は、日本が1次リーグで2試合を戦ったテキサス州のFIFA公式観戦会場でサポーターの案内を担当した。コロナ禍の頃に日本のアニメを見始め、3年前から毎日スマホアプリで日本語を勉強している。観戦会場を訪れた日本人に「ほんま」「めっちゃ」などの関西弁を教えてもらったといい、「W杯のお祭り気分を味わいながら、日本人とも交流できた」と笑顔を見せた。



