2026年に開催されたサッカーワールドカップ(W杯)北中米大会は、2028年夏のロサンゼルス・オリンピック・パラリンピックの予行演習として注目された。大会組織委員会のレイノルド・フーバー最高経営責任者(CEO)は6月、国際オリンピック委員会(IOC)との共同記者会見で「ロサンゼルスでの8試合は、観客の輸送や警備計画などで大変参考になる」と述べ、実践的なデータ収集の場としての意義を強調した。
警備面では大きな問題なし、一部トラブルは発生
W杯期間中、ロサンゼルスの会場周辺では一部住民が規制線内にある自宅に帰れないトラブルが発生したが、警備上で大きな問題は報告されなかった。警察当局は事前の訓練を活かし、迅速に対応したという。しかし、こうした規制が地域社会に与える影響については、今後の五輪運営でも考慮が必要との指摘がある。
輸送面ではシャトルバスが好評、渋滞は課題
輸送面では、ロサンゼルス・スタジアムが鉄道駅から徒歩圏内にないため、主催者はシャトルバスサービスに力を入れた。片道1.75ドル(約285円)で利用可能で、ユニオン駅など計15の拠点から直通で会場へアクセスできるシステムは、観客から高い評価を得た。しかし、試合前後には会場周辺で深刻な渋滞が発生し、地元住民から不満の声が上がった。この問題は、28年五輪でも同様の課題を投げかける。
政治介入と環境問題、W杯が露呈した矛盾
一方で、今回のW杯は政治的な介入や環境問題など、サッカー大会としての純粋なスポーツイベントを超えた矛盾も浮き彫りにした。トランプ政権下で開催された大会では、右派勢力がスポーツを政治的に利用する動きが見られ、選手たちの沈黙が批判を浴びた。また、大会のカーボンフットプリントは「史上最も地球を汚染した」とされ、FIFA会長の移動手段にも批判が集まった。
ロス五輪への教訓と今後の課題
これらの経験は、28年ロサンゼルス五輪にとって貴重な教訓となる。フーバーCEOは「警備と輸送のノウハウは確実に蓄積された」と評価する一方、政治とスポーツの距離感や環境配慮の重要性を改めて認識させた。大会組織委員会は、W杯の成功と課題を踏まえ、五輪運営の最適化を進める方針だ。



