アジアパラ車いす100mで伊藤智也選手が銅、自己新ならずも残る2種目に闘志
アジアパラ車いす100m伊藤選手銅、自己新ならずも闘志

愛知・名古屋アジアパラ大会(読売新聞社協賛)の陸上競技が21日、名古屋市瑞穂公園陸上競技場で行われ、男子100メートル(車いすT52)に出場した三重県鈴鹿市出身の伊藤智也選手(63)(バイエル薬品)が3位に入賞し、銅メダルを獲得した。

自己ベストに届かず、悔しさをにじませる

伊藤選手はスタート直後から好スタートを切ったものの、中盤でスピードを上げきれず、記録は18秒23。自己ベストから1秒以上遅れるタイムとなり、「皆さんに心配をかけるようなレースをしてしまい申し訳ない」と声を絞り出した。

スタート前の選手紹介では、名前がコールされると競技場から大歓声が沸き起こった。スタンドからの温かい声援や拍手に励まされたという。

盟友の死を乗り越えて臨んだ一戦

伊藤選手にとって、今大会は特別な意味を持つものだった。9月に車いす陸上の上与那原寛和さん(55)が沖縄県内の公道で練習走行中に車に追突され、1週間後に息を引き取ったのだ。20年ほどの付き合いがあった上与那原さんは、伊藤選手にとって弟のような存在であり、ともに国際大会で数多くのメダルを獲得してきたライバルでもあった。

突然の訃報を受け、大会前には「精神的にも体力的にも安定していない」と心境を漏らしていた。この日のレース後、報道陣から上与那原さんへの思いを問われると、「400メートルと200メートルが残っているので、最後のレースが終わってからしっかり話したい」と述べるにとどめた。

残る2種目へ、ベテランの意地

100メートルは悔しい結果となったが、伊藤選手は気持ちを切り替え、残る200メートルと400メートルに向けて「コンディションを持ち直せるように今晩整える」とベテランらしい矜持を見せた。