アジア競技大会(読売新聞社協賚)の聖火リレーが30日、愛知県内で行われた。Aコースはみよし市から豊田市、犬山市を経て扶桑町へ、Bコースは美浜町から武豊町、半田市を経て阿久比町へ、それぞれつながれた。
犬山市では熊本出身の石井佳奈子さんが熱走
犬山市の走者の一人、石井佳奈子さん(50)は、新たな人生を切り開いてくれた同市と、地震で被害を受けたふるさと・熊本への思いを胸に走った。
熊本県八代市出身。中学校まで同市で暮らし、熊本市内の高校に通った。小中学校時代は陸上と水泳に打ち込み、高校卒業後の1994年にワコールに入社して実業団のランナーになった。
96年の「第18回読売犬山ハーフマラソン」に出場し、ハーフマラソン初出場ながら優勝。同年の世界ハーフマラソン選手権の日本代表の座をつかんだ。「犬山を走ったのは初めてだったが、城下町らしいきれいな町並みなどが印象に残っている」と振り返る。
約6年の現役生活を送って引退し、東京で会社員生活を送っている時に結婚。夫の裕朗さん(59)の転職を機に、2020年夏、犬山市に移住した。「移住先がハーフマラソンで初優勝できた犬山になるなんて『不思議な縁』と本当に驚いた」という。
その後は、家族で参加できるマラソン大会などに出場する傍ら、同市で駅伝大会出場を目指すランナーたちに助言する仕事にも携わる。「緑と川に恵まれた犬山で暮らせていることに感謝し、目標に向かって頑張る大切さを子供たちに伝えたい」と聖火ランナーを目指した。
そんな中での熊本地震。八代市の実家は大きな被害を受けず両親たちも無事だったが、断水で不便な生活を強いられた。「少しでも元気になってもらうため、私が頑張っている姿を見せる」という目標が新たに加わった。
この日、会場の羽黒中央公園内で聖火を次のランナーに託し、「家族や知人の応援もあって、楽しかった。この地に感謝し、被災地の一日も早い復興を願いながらのリレーでした」と笑顔を見せた。裕朗さんと声援を送っていた娘の佑奈さん(13)はリレーを終えた母親について、「格好よかった。映像を八代に送ってあげないと」と話した。
豊田市では山本有真選手が地元を疾走
6月に開催された陸上の日本選手権・女子5000メートルで初優勝し、今大会での活躍が期待される山本有真選手(26)が地元・豊田市を駆け抜けた。
大きな声援を受けて、豊田スタジアム周辺を走り、「楽しんで走ろうと思った。思い入れのある場所で経験させてもらい、いい時間になった」と振り返った。
同市の前林中学校時代に本格的に陸上競技を始め、名城大では1年時から全日本大学女子駅伝で区間賞を獲得するなど活躍。大会史上初の6連覇に主力として貢献した。卒業後は積水化学に進み、2024年の日本選手権・女子5000メートルで2位に入り、パリ五輪に出場した。
同種目は日本選手権4連覇中だった田中希実選手が引っ張ってきたが、県内開催となった今年の日本選手権ではゴール直前で田中選手を逆転し、今大会の出場権をつかみ取った。「日本選手権以上の熱い走りを届けて、みなさんと一緒にメダルを獲得した姿で喜びたい」と意気込んだ。



