巨人・甲斐拓也捕手(33)が26日のヤクルト戦(神宮)で、今季初安打となる決勝の1号ソロ本塁打を放った。3-3の同点で迎えた九回、ウォルターズのカットボールを左翼席に運んだ一発は、今季14打席目でようやく出た初安打だった。
試合後、甲斐は「こういった素晴らしい景色が見れるのはね。本当にうれしいなと思います。何より勝ててよかったです」と語り、「優勝目指して頑張りましょう」と声を張り上げた。守っても5投手を好リードし、久々に攻守で存在感を発揮した。
移籍後は不振と骨折に苦しむ
ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)で2024年オフに巨人へ移籍。しかし移籍1年目の昨季は5月以降、打撃不振に陥り、セ・パ交流戦で先発マスクをかぶった7試合に全敗。8月23日のDeNA戦(東京ドーム)で本塁クロスプレーで右手中指を骨折し、わずか68試合出場にとどまった。
今季もオープン戦で打率1割7分6厘と不振で、開幕1軍を逃していた。13日に今季2度目の1軍昇格。チームが115試合を消化した状況下、この日が8試合目の出場だった。
橋上監督代行が人間性を評価
プロ16年目の背番号10を抜擢した橋上秀樹監督代行(60)は、2軍首脳陣とコミュニケーションを密に取り、ベテランの状況を把握。甲斐について「『しっかり自分のやるべきこと、いつ出番が来てもいいように準備しておく』ということは(本人が)言っていました。そういう人間性の部分があるから、一流といわれる。いつ来てもいいように、しっかり備えてくれている」と褒めたたえた。
甲斐は移籍時、当時の阿部慎之助監督から「グラウンド上ではキャッチャーというのは監督なんだ。そういった役割があり、司令塔としてやってもらいたい。また、背番号10番もそういった思いを受け継いでほしい」と期待された。ソフトバンク時代は正捕手として日本一に4度輝き、21年東京五輪では野球日本代表「侍ジャパン」の正捕手として金メダルを獲得した実績を持つ。
しかし結果が出ないと評価は一変し、阿部氏も1軍戦力として起用しなくなった。それでも甲斐は腐ることなく2軍で若手選手と汗を流し、チャンスを待った。
野村克也氏との縁
甲斐は17年春、ホークスの捕手の先輩で、著書を読みあさるなど野球人としても尊敬していた野村克也氏と初めて対面。同じ母子家庭に育ち、テスト生からはい上がった野村氏に対し、自身は育成ドラフト6位で入団したところなど「境遇が似ているね、といわれた」。野村氏からは「功は人に譲れ」という言葉を贈られたという。
橋上氏もヤクルトでの現役時代、楽天でのコーチ時代に野村氏から薫陶を得た。阿部氏が家庭内の騒動で5月26日に辞任し、オフェンスチーフコーチだった橋上氏が監督代行に昇格したのも、甲斐にとっては何かの縁だったのかもしれない。どんな境遇下に置かれても愚痴らず、不貞腐れず、自分のやるべきことをやり抜く姿は、一般社会の人々も大いに学ぶべきではないか。



