愛知・名古屋アジア競技大会は27日、スケートボード・ストリート男子が行われ、世界ランキング2位の佐々木音憧が172.35点で銀メダルを獲得した。パリ五輪日本代表の小野寺吟雲は168.11点で銅。金メダルは180.85点をマークしたカン・ジュニ(韓国)だった。
三つどもえの展開、カンの逆転劇
スケートボード・ストリートは、レールや階段などの障害物が設置されたコースを滑る種目。45秒間の「ラン」と一発技を競う「トリック」をそれぞれ3本ずつ滑り、合計点で競う。
試合は事実上の三つどもえとなった。小野寺、佐々木、カンはいずれも世界大会で活躍する強豪だ。試合を引っ張ったのはカンで、ラン1本目から84.83点をマーク。3本目にはランの後半に連続で高難度のトリックを決める構成で88.45点をたたき出した。
日本勢は佐々木が84.30点、小野寺が80.72点とまとめ、トリックの出来栄えが勝敗を分けることになった。
トリックで日本勢リードも、カンが大会唯一の90点台
トリックでは日本勢がリードする。佐々木は1本目に得意の「フェイキー・キャバレリアル・ノーズグラインド」を決めて172.35点、小野寺は「キックフリップ・テールブラント・ビッグスピンアウト」で168.11点とし、表彰台に近づいた。
一方のカンはトリック1、2本目を失敗。プレッシャーのかかる3本目に「ノーリー・アーリーウープ270キックフリップ・ボードスライド」を決め、この日唯一の90点台となる92.40点をマーク。雄叫びを上げて喜びを爆発させ、アジアの頂点に立った。
銀メダルの佐々木は「ランはもう少しレベルを上げられたが、乗れてよかった」と振り返り、トリックでは1本目に決めた技以上に得点が出る技が未完成であることを明かし、「一か八かだった。やる技が特にないしトライしてみようかなと思ったが……」と語った。
「韓国の堀米」カン・ジュニ、逆転で金
金メダルのカン・ジュニは17歳。「韓国の堀米雄斗」とも呼ばれる韓国スケートボード界のトップライダーだ。2024年に若手の登竜門「タンパ・アマ」を韓国人として初めて制し、2026年の「Xゲームズ」サクラメント大会ではベストトリックで優勝している。
彼のアイドルは東京・パリ五輪金の堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)。「幼い頃から堀米の動画を見て育った」と公言し、「私のロールモデルです」と話す。試合中のたたずまいや技は堀米そっくりで、今大会では「ノーリー・アーリーウープ270キックフリップ・ボードスライド」を決めて逆転優勝した。
試合後の記者会見では「彼のトリックをマネし、そこから新しいトリックを作り出してきた」と語り、「韓国人として初めてスケートボード競技で金メダルを獲得できてうれしい」と喜びを語った。
監督「アジアのレベルがすごく上がってきている」
五輪では男女とも日本勢が金メダルを獲得してきたスケートボード・ストリート。五輪以外の大会でも日本勢が上位を占めることは珍しくないが、今大会は男女ともに金を逃した。
スケートボード日本代表の早川大輔監督は「金メダルを全部取りたかったが、悔しい」とした上で、「アジアのレベルがすごく上がってきている。去年あたりから感じていたが、加速してきている」と話した。
日本以外のアジア勢の台頭については、「日本が優位に立っている時期があったのは確かだ」としつつ、「堀米選手が東京五輪で金メダルを取った後に、急速にアジア勢のレベルアップが進んでいる。かつて日本は『アメリカと差がある』という状態から伸びてきた。今はアジア各国の選手が世界で試合をすることが増えて、全体の差は小さくなってきている」と語った。