ハンドボール男子日本代表の市原宗弥選手(26)が、9月に開幕するアジア競技大会に向けて意気込みを語った。ポジションは相手守備の最終ラインで体を張り、味方の攻撃を支えるピボット。1月のアジア選手権でベスト7(最優秀ピボット)に選ばれ、アジア大会では代表の中心選手として期待されている。
代表選出に使命感
7日に動画配信された代表発表では、同じポジションの選手が先に呼ばれ、「どうなんだろう」と頭をよぎったところで自身の名前が呼ばれたという。「一安心という気持ちとともに『活躍しなきゃ』という使命感がわいてきました。試合会場の一つがチーム本拠地のエントリオということもあり、絶対に出たいと思っていました」と振り返る。
アジア選手権でのベスト7受賞については、「選ばれるとは思ってなくて、監督から伝えられた時は『ジョークでしょ』って返事をしたんですけど、『いや、ガチだから。早く行って』と言われて驚きました」と述べた。
強みは「ファイター」精神
自身のプレーが評価された点について、市原選手は「得点をたくさん取る選手ではないんですけど、監督にも『ファイター』と言っていただけるように、苦しい時でも一歩足が出て、相手と接触することができる――そういう部分を評価していただいたと思います」と語る。海外には大きな選手が多くいるが、「気持ちでは負けないところを意識しています」と強みを強調する。
ハンドボールとの出会い
中学では陸上の四種競技に取り組んでいたが、打ち込めていないと感じていた。授業でハンドボールをやった時に「これだ」と直感し、横浜市内の強い高校を探して電話し、監督に「入りたいんです」と訴えたという。「周りは経験者で、僕は初心者で何もわからない。『とにかく一生懸命やってやる』と思ったことを鮮明に覚えています。楽しいからこそ今まで続けてこられたと思います」と振り返る。
けがや痛みも多く、試合後に気づくことも多いといい、医師から「鎖骨が一瞬飛び出ていた」と言われたこともあるという。
普段は穏やか、コートで変身
自身の人柄について「基本的には、怒らなくてのんびりしているので、平和なやつかな。そこを超えられるのが唯一、ハンドボールです。1点を守るため、取るためには、周りに強く言うこともあります」と話す。
アジア大会の目標は「金メダル」と力強く宣言。将来の夢は「オリンピックに出場して結果を残したい」と語った。
市原選手は横浜市出身。横浜創学館高1年からハンドボールを始め、日大を経て、豊田合成に入社5年目。2025年世界選手権代表。身長1メートル89、体重88キロ。趣味は会社の同僚と行くゴルフ。好きな食べ物は家系ラーメン。
取材後記
市原選手の愛称は「イッチー」。同僚から「イッチーが怒っているところは見たことがない」と言われるほどふだんは穏やかだ。しかし、コートでは自らも代表監督も認める「ファイター」に変身するという。
ハンドボールを始めた高校1年の時、髪を丸刈りにして競技に打ち込む覚悟を固めた。自宅近くの1000円カットに出掛け、バリカンの音が鳴ると涙が止まらなかったという。その覚悟を、日の丸を背負う選手に成長して形にした。体を張ってファイトする市原選手の姿は注目だ。



