サポカー限定免許、取得わずか114人…22県でゼロ、高齢者向け制度の課題
サポカー限定免許取得114人、22県ゼロの実態

自動ブレーキ機能などを備えたサポートカー(サポカー)のみを運転できる限定免許の取得が低迷している。高齢ドライバーの事故防止対策として2022年5月に導入されたが、取得者は全国で114人(昨年末時点)にとどまる。運転免許の更新か自主返納かで悩む高齢者らの「中間的な選択肢」として期待されていたが、狙い通りには進んでいない。

導入4年、取得者わずか114人

警察庁が導入したこの限定免許は、加齢に伴い運転に不安を抱える高齢ドライバー向け。運転できるのは、国の性能認定を受けた自動ブレーキと、ペダルを踏み間違えた時に急加速を防ぐ装置を備えた車に限られる。対象外の車を運転すると、道路交通法の「免許条件違反」となり、違反点数2点、反則金7000円が科される。

都道府県別では、静岡の63人が最多で、京都9人、神奈川と大阪が各4人、石川と愛知が各3人と続く。一方、佐賀や熊本など22県では取得者がゼロだった。静岡県では2023~2025年、県警などがサポカーを購入し限定免許に切り替えた65歳以上の県民やその家族に、商品券3万円分を贈るキャンペーンを実施したという。

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75歳以上の死亡事故割合が上昇

75歳以上のドライバーによる死亡事故の割合は増加傾向にある。警察庁のまとめによると、2015~2025年の事故は333~460件で推移。全死亡事故に占める割合は2025年に17.6%に上り、2015年比で4.8ポイント上昇した。免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳未満の約2倍に上る。人的要因としては、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの「操作不適」が最多で33%を占める。

国土交通省の担当者は、「サポカーは交通事故を減らす対策の一つとして効果が期待できる」と話す。警察庁も、限定免許は高齢者の安全運転の助けとなるとの認識を示し、「関係団体などと連携しながら周知に努めていく」とする。

新車価格上昇が取得の壁に

限定免許の取得が伸び悩む理由の一つは、免許切り替え時にサポカーでなければ車を買い替える必要があることだ。日本自動車工業会(自工会)の調査によると、新車の平均購入価格は年々上昇し、2025年は331万円に達した。自工会は「『あと数年しか乗らない』と購入を見送る高齢者もいる」とする。

2019年に東京・池袋で80歳代男性の運転する車が暴走し母子2人が死亡した事故を受け、国は新型車には2021年11月以降、生産が続く車にも2026年9月から、自動ブレーキの搭載を義務付けている。しかし、国交省や自工会によると、国内のサポカー普及率は把握できていないという。自工会は「サポカーの機能を過信せず、ドライバーは常に安全運転を心がけてほしい」と注意を呼びかける。

専門家「優遇措置が必要」

高齢者の運転対策に詳しい九州大の志堂寺和則教授(交通心理学)は「限定免許は取得するメリットが乏しく、中間的な選択肢として十分に機能していない」と指摘。「自動車保険が安くなったり、駐車料金の割引があったりする優遇措置があれば、取得を後押しできるのではないか」としている。

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