人口27人の島に年間1500人が集う海の家
瀬戸内海に浮かぶ家島諸島の一つ、男鹿島。2020年の国勢調査によると、世帯数はわずか15、人口は27人。この小さな島で、50年以上にわたって営業を続ける海の家「中村荘」がある。年間の営業期間は4月後半から9月末頃までの約5カ月間で、その間に約1000~1500人が訪れるという。
創業のきっかけは「子供たちに魚と触れ合ってほしい」
海の家「中村荘」は、家島で働いていた中村庄助さん(現在84歳)が「子供たちに魚と触れ合ってほしい」という願いから生まれた。開業当時は花崗岩の採掘作業の関係で自由に水が使えないなどの苦労があったが、当時400~500人いた島民の温かさに支えられながら営業を続けてきた。現在の運営は、長男の中村有作さん(53歳)が継いでいる。
売上の8割は宿泊以外、1億円超のクルーザーで来る客も
中村有作さんによると、売上の約8割は宿泊以外の飲食や物販などから得ているという。「海のドライブイン」感覚で訪れる人も多く、中には1億円を超えるクルーザーで来島する客もいる。しかし、経営環境は厳しい。「経営的にはコロナ以降、厳しい状況が続いています。燃料費などを含め、何もかも物価が上がってしまったので……。人手不足にも苦しんでいます。需要はあるけど人が足りないので予約で調整する、といったケースも少なくないですね。中村荘単体で見ると、経営的には昨年は赤字でした」と有作さんは語る。
赤字でも続ける理由「父の夢を終わらせたくない」
赤字経営にもかかわらず営業を続けるのは、父親の夢を継ぎたいという思いからだ。「父の夢を終わらせたくない、継いであげたい」という有作さんの言葉には、島の暮らしと人とのつながりを大切にする姿勢が表れている。利益や採算よりも「お客さんの笑顔」を大切にし、人と人との“繋がり”を紡いでいきたいと語る。
来島時の注意点
男鹿島を訪れる際には、事前の予約や交通手段の確認が必要だ。島へのアクセスは限られており、フェリーやチャーター船を利用することになる。また、島にはコンビニエンスストアなどはなく、宿泊施設も限られているため、事前の準備が欠かせない。



