青森県十和田市の奥入瀬渓流で13日、乗用車に加えて観光バスなど大型車も通行できなくする「完全交通規制」が、1日限りで初めて実施された。県などは将来的に、環境保全のため通年の完全交通規制実施を目指しており、宮下知事は同日、「少し先の未来の姿を実現することができた」と話した。
自然の音を楽しむ来場者
13日は天候に恵まれ、奥入瀬渓流は家族連れのほか、ウォーキングやサイクリングを楽しむ人たちでにぎわった。訪れた人々は渓流のせせらぎや葉っぱが風に揺れてざわめく音など、普段は聞こえない自然の音を楽しんでいた。
青森市から家族3人で訪れた男性(33)は「自然の中をゆっくり歩くことができた。子どもを連れていたので、車が走っていない安心感はとても大きい」と話した。
規制の内容と経緯
交通規制が行われたのは国道102号の惣辺交差点―子ノ口交差点間の約10キロ。7~12日の日中は、路線バスや観光バスなどを除く一般車両の立ち入りを禁止する「マイカー規制」を実施した。13日は大型車の通行も規制し、主催側が用意したシャトルバスだけが走れるようにした。
県や十和田市などは2003年から、この区間のマイカー規制の社会実験を実施している。奥入瀬渓流には新緑や紅葉を見ようと車や人が押し寄せており、排ガスによる環境悪化や植生への悪影響が懸念されるためだ。
将来の通年実施へ
国は迂回路として国道103号青模山バイパスの整備を進めており、早ければ30年代後半に完成するとみられる。県はその後、奥入瀬渓流の完全交通規制を通年で実施し、自動運転の電気自動車(EV)や、時速20キロ未満で公道走行が可能な電動車「グリーンスローモビリティ」などを走らせ、環境に配慮した交通を実現して奥入瀬の自然をアピールしたい考えだ。
宮下知事は同日の式典で「(完全交通規制などが実現すれば)奥入瀬渓流は世界でも有数の観光地に大きく前進する。その第一歩を踏み出す日だ」と力強く語った。県県土整備部の鈴木英宗次長は「未来の奥入瀬渓流の姿を、現地で実現できた意義は大きい。収集した来場者のデータを分析し、施策に反映していきたい」と話した。



