ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、音楽業界におけるファンとアーティストの繋がりを深め、新たな体験を創出することを目指し、ユニバーサル ミュージックとの協業について検討を開始する。アーティストのAdoのオリジナルデザインのクレジットカードやライブ支援などの取り組みはその一環で、今後さらなる連携を進めていく。
推し活支援のブランド戦略と音楽市場の成長
日本で推し活市場が拡大しており、Visaは推し活への支援を行うブランド戦略「あなたの「好きの最前列」へ」を開始している。その第1弾として音楽分野での取り組みを進めており、今回の発表は、多くのアーティストが所属するユニバーサル ミュージックと連携することで、取り組みを強化する考えだ。
Visaのマーケティング本部長である里村明洋氏は、世界の音楽市場が2025年には317億米ドル、対前年比6.4%増となり、11年連続の成長を遂げていると指摘。その中で、日本市場は音源売上規模で世界第2位となり、「日本で最も身近なカルチャー領域の1つ」と話す。
日本の音楽ファンの市場規模と決済支援
日本人の音楽に関する平均視聴時間は1日で51分と長く、「日常に音楽がある」と里村氏。音楽にはライブやSNS、コミュニティに「参加する」という行動もあり、ライブコンサートの動員数は2025年に約6,000万人だった。さらにグッズ購入や遠征のための旅行、限定体験といった「体験する行動」まで広げると、ライブ・エンターテインメント総売上額は2025年に約6,400億円に達したという。
この音楽領域に向けてVisaは、「安心安全な決済ネットワークで支えていきたい」と里村氏は強調する。推し活市場では、ストリーミング市場やチケット購入、ホテル宿泊、バックステージ体験、移動、ファングッズ購入、ライブ会場飲食など、決済のシーンが数多くある。これを決済ネットワークとして支え、新たな体験価値と経済活動の活性化に貢献していくのがVisaの目標だ。
J-MUSICの世界展開と今後の協業
ユニバーサル ミュージックの上席執行役員である玉木一郎氏は「音楽を巡る経済圏は大きいが、なぜ人々はそこにそれだけのお金や時間、情熱をかけるのか。それは音楽というものがファンにとっての目的であり、情熱を注ぐ対象だから」と話し、それを作り出しているのが「ファンとアーティストの関係性(エンゲージメント)であり、その関係性を深める手伝いをするのがユニバーサル ミュージックの仕事」だと説明する。
日本の音楽業界は「間違いなく時代の転換点を迎えようとしている」という。藤井風、Ado、YOASOBI、Creepy Nutsなど、すでに世界で活躍している例が増えており、例えばAdoはワールドツアーで50万人以上を動員した。これまで日本のこうした音楽ジャンルは「J-POP」と呼ばれてきたが、その中にはシンガーソングライターもロックバンドも、ダンス、ボカロ、VTuberといったように多種多様な音楽ジャンルがあり、「J-MUSICという言葉に拡張すべき時だと感じている」と玉木氏は強調する。
Visaとユニバーサル ミュージックでは、Adoのオリジナルクレジットカードやライブへの協賛、オリジナルグッズなどに加え、東京・原宿で展開しているTHE WEEKNDのポップアップストアにおけるVisaカードユーザーの優先入場・優先決済のレーンなど、特別な体験を提供しており、こうした取り組みをさらに拡大していく。アーティストの世界展開では、ワールドツアーへの会員招待だけでなく、海外のVisaとも協力して海外イシュアのカード会員への展開を図るといった支援の可能性が考えられる。アーティストとファンの関係性を深める特別な商品や体験の提供だけでなく、アーティスト自体のサポートも検討しながら、両社は音楽業界における協業を深めていきたい考えだ。



