熊本地震で震度6強を観測した熊本県八代市。甚大な被害を受けた鏡町地区で、倒壊した自宅のすぐ隣のガレージで暮らす夫婦がいる。このガレージは、一日中戸が開け放たれ、地域の被災者たちの憩いの場となっている。
ガレージに集う人々
津田宜治さん(78)と春美さん(74)の夫婦が暮らすガレージには、近所の人や親類が入れ替わり立ち替わり訪れる。差し入れられた冷蔵庫やラジオ、マットレスなどが所狭しと並ぶ。宜治さんは「何か足りないものはない?」「うちの冷蔵庫いらない?」と訪れる人々に声をかける。
家を失い肩を落とす近所の男性に、宜治さんは「笑って暮らさんと」と励ました。夕方に訪れた女性は「明日もまた来るからね」と名残惜しそうに手を振って車に乗り込んだ。
夫婦の被災体験
絶えず人が訪れる理由を、宜治さんは「たまたま家が開いとるけん来ただけだ」と笑う。30年近く地域の自治組織などで活動してきたといい、「この地域では知らん人はおらんぐらい」と話す。
地震があった7月28日、2人は自宅の居間にいた。夕食の支度に取りかかろうとしたその時、「ドン」と横揺れが発生。春美さんの背後から冷蔵庫が倒れ、下敷きになった春美さんを宜治さんが助け出した。自宅は1階部分が潰れた。
半世紀の思い
2人は半世紀ほど共に暮らしてきたこの場所を離れたくないと強く思っている。ガレージは今も地域の人々にとって欠かせない場所であり続けている。



