出雲市や市内の遺族会が、慰霊祭に参列しやすい取り組みを進めたり、平和について学べる場づくりを模索したりしている。遺族の高齢化が進み、若い世代への継承が難しくなる中、関心を寄せる人たちを増やしたいという狙いがある。
式典会場を段差のない場所に変更
毎年8月に営まれ、近年は約200~300人が参列する「市戦没者追悼・平和祈念式典」について、市は今年から会場に段差がなく、足腰が不自由な人でも参列しやすい「ラピタ本店」(今市町)に変更した。
従来は市民会館大ホール(塩冶有原町)を利用していたが、一部が階段状の造りのため、手押し車やつえを利用している人は移動しにくく、会場の見直しに関する要望があったという。
伯父を失い、毎年参列している斐川町の池田幸夫さん(88)は「つえを使っているので皆と一緒に歩けず、邪魔にならないようにしていたが、出入りがエレベーターで会場も平らなので来やすくなった。色々な行事で来る場所でもあるので安心している」と歓迎した。
遺品展示で平和学習の場に
斐川町遺族会は、町慰霊塔に遺品を集めて展示し、平和学習の場にできないかと模索を始めた。終戦の日には、遺族や出郷者らが集まり、戦没者に思いをはせ、語り合いの場になっている点に着目した。
当日は、米軍の爆撃機の銃弾痕が残る柱の一部や出征者名を記したのぼり、兵士が身に付けた千人針など各家庭に大切に保管されてきた遺品を塔内で展示。遺族会の会員らが、遺品について説明をした。
町遺族会の原晴昌会長(88)は「遺品を見てもらいながら、戦争を知らない世代が平和について考えることができる場所にしたい」と話す。
戦争で何があったかを知るには、どんな世代でも気負わずに参加し、見たり、聞いたりできる場所が必要だ。今あるものを工夫して、平和について考える場が広がってほしい。