雇用ジャーナリストで株式会社ニッチモ代表取締役の海老原嗣生氏と、プレジデント編集長の星野貴彦氏が、日本の非正規雇用問題や欧州の物価高騰の背景について語り合った動画が公開された。本稿ではその内容を詳しく紹介する。
非正規問題は就職氷河期だけが原因ではない
海老原氏は「非正規問題は就職氷河期のせいではない」と断言する。氷河期世代が非正規に追いやられたのは確かだが、現在の非正規雇用の中心は女性と高齢者であり、問題の構造はより複雑だという。
同氏によれば、女性の非正規雇用は実は減少傾向にある。大企業の新卒採用では男女比が半々になりつつあり、女性の正社員化が進んでいる。しかし、依然として非正規雇用の多くを女性が占めているのは、結婚・出産後の再就職でパートタイムを選ぶケースが多いためだ。
主婦パートと高齢者人材が激減
人手不足が深刻化する中、これまで労働力の支えだった「主婦パート」と「高齢者人材」が急減している。主婦パートは、夫の収入が減少したことや、自身のキャリア志向の高まりから、より条件の良い正社員を求める傾向が強まっている。また、高齢者は年金受給開始年齢の引き上げや健康寿命の延伸により、従来のパート勤務からフルタイムや専門職へとシフトしている。
海老原氏は「非正規人材をどう補うかが喫緊の課題」と指摘。その解決策の一つとして、外国人労働者の受け入れ拡大を挙げる。しかし、単純労働者としての受け入れではなく、技能実習制度の抜本的な改革や、高度人材の獲得競争が重要だと強調する。
欧州のハンバーガーとコーヒーが高いワケ
動画の後半では、欧州でのハンバーガーやコーヒーの価格が日本より高い理由について議論。海老原氏は「最低賃金の高さや社会保障費の負担、そして消費税の影響が大きい」と説明する。欧州諸国では最低賃金が日本の1.5倍から2倍に達し、さらに事業主負担の社会保障料も高い。これらが最終的に商品価格に転嫁されている。
また、星野編集長は「これからは事実上の独身税が発生する可能性がある」と指摘。少子化対策として、独身者に追加負担を求める政策が議論されるかもしれないと述べた。
労働市場の新たな形をどうつくるか
最後に、両氏は今後の労働市場の展望について語った。海老原氏は「企業は年功序列や終身雇用にこだわらず、多様な働き方を受け入れる必要がある」と提言。一方、星野編集長は「個人もキャリア自律が求められる時代。副業やリスキリングを通じて、自身の市場価値を高めることが重要」と締めくくった。
この動画は、日本の労働市場が直面する課題を多角的に分析し、今後の方向性を示す示唆に富んだ内容となっている。



