大学案内、紙からウェブへ ページ削減と拡充、各大学で模索続く
大学案内、紙からウェブへ ページ削減と拡充、模索続く

大学が受験生らに配布する「大学案内」が変化している。オンラインへの一本化や冊子のページ数減など、紙での発行に縮小の動きがある一方、読みやすさを重視し、大判にしたり、分冊化したりするケースもある。各大学は、情報の発信方法を模索している。

ウェブ移行とページ削減の動き

近畿大(大阪府東大阪市)は今年、大学案内の紙での発行を終了してウェブに切り替えた。2015年から、若者向けカルチャー雑誌社と共同で「近大グラフィティ」を製作。学長あいさつや学部紹介など、やや堅い内容の大学案内が主流だった中で、学生のファッションスナップなどを充実させ、雑誌のような作りで人気だった。研究内容は、主にウェブで紹介していた。

だが、学内で人工知能(AI)を活用した学びが広がり、今後は受験生にとってもAIでの情報収集が主流になるとして、ウェブに全面移行した。SNSのショート動画などで、リアルタイムの情報発信も強化する。稲葉美香・広報室長は「受験生が情報を得る手段が多様化する中、いつまでも紙でいいのかという議論があった。ウェブならこれまで以上に多くの情報を発信できる」とする。オンラインへの一本化は、東洋大(東京都)が13年に先行して進めている。

ページ数削減と内容の工夫

ページ数を減らしたのは京都産業大(京都市)で、今年は前年の4割減となる94ページで出した。大きく減らしたのは、学部紹介のページだ。昨年、大学ホームページを刷新し、研究に関する内容を充実させたため、QRコードでウェブに誘導する形に変更した。一方で、各界で活躍する卒業生へのインタビューを増やすなど、強みであるキャリア教育に関する内容は拡充した。広報部の担当者は「大学のスタンスをより明確にした。冊子を入り口に、ウェブにアクセスしてほしい」と話す。

サイズ拡大と分冊化で充実

分かりやすさを考慮し、冊子を拡充する大学もある。昨年までA5変型判で発行していた追手門学院大(大阪府茨木市)は今年、A4判に変えた。コンパクトな冊子が定着していたが、情報量が限られるジレンマがあったという。学生インタビューなどを厚くするため、サイズを拡大した上でページ数も増やした。入試課の担当者は「特徴的なデザインの切り替えには葛藤もあったが、内容の充実をとった」と明かす。

受験生のニーズに応じた対応を目指すのは関西外国語大(大阪府枚方市)。昨年から、「留学ガイド」「キャリアガイド」を大学案内から切り離して発行する。大学案内では、英語を中心に経営や情報など専門分野を学べることを中心にまとめ、受験生の関心に応じてガイドを送付する。入試部の担当者は「SNSやウェブできめ細やかな対応は難しい。情報を丁寧に届けたい」とする。

関西学院大(兵庫県西宮市)は今年、巻頭でトレンドの研究内容をまとめるなどの刷新をした。受験生への分かりやすさを重視したといい、募集広報課の担当者は「イメージだけではなく、大学の研究力と指針を明確にした」と話す。

大学案内の役割と今後

マイナビ進学総合研究所が5月、大学・短大志望の高校生約800人に行った調査(複数回答)では、大学案内を読む目的について「様々な学校を幅広く知る」(55.9%)と、「ある程度絞り込んだ志望校群を比較する」(52.7%)との回答が多かった。志望校を決める過程で学びの特色や進路を見比べるため、大学案内が重要な役割を果たしている。

大学広報の企画立案などを手がける「ホトゼロ」(大阪市)の花岡正樹代表は「以前の大学案内は受験生にアプローチするための道具だったが、SNSの広がりで役割が変わってきている。紙の大学案内の強みは、全容を俯瞰できることで、今後、各大学がさらに工夫を打ち出していくのではないか」とみている。