障害ある学生と共に活動、心のバリア消えた…合理的配慮の義務化で各大学に広がる取り組み
障害ある学生と共に活動、心のバリア消えた…合理的配慮の義務化

障害のある学生への「合理的配慮」が2024年までに全ての大学で義務化され、設備面だけでなく、“心のバリア”に着目した取り組みが各大学で進んでいる。障害のある学生とない学生が共に活動するイベントなどを通じ、相互理解を促す狙いがある。

「Challengedキャンプ」で小学生との交流会

今月上旬、和歌山県白浜町の中央公民館で、先天性骨形成不全症がある同志社大3年の橋本まあやさん(21)が、小学生からの質問に答えていた。「1日生活するのってしんどい?」という問いに、「みんなより小さいからしんどいね。昼寝とか休憩を繰り返して生活しているよ」と答えていた。

障害のある学生とない学生が2泊3日を共に過ごす「Challengedキャンプ」は、同志社大(京都市)が2005年から開催しており、今年は21人が参加した。うち2人は、橋本さんと、重度感音難聴の2年榎本裕介さん(19)だ。

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今年は初めて、近くの小学生14人を招いた交流会も開いた。学生と小学生は、榎本さんから「『どうやって話せばいい?』と紙に書いて聞いてもらえるとうれしい」などと教わった。

学生同士の支え合いと就労支援の広がり

橋本さんは「私が他の学生と楽しく過ごす姿を子どもたちに見せることができ、打ち解けられた」と喜んだ。参加した同大学4年の女子学生(22)は「障害について尋ねると不快に感じるかもしれないと考えていたが、一緒に過ごし、話して分かり合うことが大切だと気付いた」と振り返った。

企画した同大学スチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ支援センターの浜田志保課長は「相手の立場に立って行動する大切さを学内外に広げてほしい」と期待する。

キャンパスでは、学生同士が支え合う制度もある。過重な負担にならない範囲で、障害に配慮した対応をする合理的配慮にあたる。常時100人以上が、授業補助や移動介助を担うサポートスタッフに登録している。

同スタッフの2年柿崎美由紀さん(19)は「以前は街で会っても見て見ぬふりをしていたが、今は向き合えるようになった」と言う。聴覚障害の学生へのサポートを機に手話を勉強中という。

竹田正樹センター所長は、「本音で話し合うことで相手への理解を深め、社会的障壁を取り除いていくことができる人材を育成したい」と話す。

障害学生の増加と大学間格差

障害のある学生は増加傾向にある。独立行政法人「日本学生支援機構」の25年度の調査によると、全国の国公私立大などで、障害のある学生の在籍率は1.82%。うち、発達障害や精神障害の学生が6割以上を占める。

支援の幅は広がっており、就労支援に乗り出す大学もある。関西学院大(兵庫県西宮市)は2018年から、障害のある学生の就労支援を社会福祉法人「すいせい」(神戸市)に委託している。障害のある学生の就職活動は、雇用形態や業務内容が多岐にわたるため、専門知識のある同法人の職員が学内に常駐し、相談に応じている。

学生支援の担当者は「卒業がゴールではない。学生が希望する人生のキャリアパスを描けるよう、伴走したい」と話す。関西大(大阪府吹田市)でも、障害のある学生を対象にした就職ガイダンスや個別面談などで、一人ひとりに寄り添う支援を行っている。

全国の大学などで障害のある学生の受け入れ状況を調査する一般社団法人「全国障害学生支援センター」の殿岡翼代表は「大学間で合理的配慮の取り組みの差が広がっている」と指摘する。センターには「大学から受験を辞退するよう仕向けられた」などの相談も寄せられているという。

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殿岡代表は「障害がある学生の学内での生活に障壁となる制度や概念を取り除くのは、大学の義務だということを認識してほしい」と呼びかけている。

2024年改正法で全大学に義務化

2016年に施行された障害者差別解消法により、国公立大では、障害のある学生への合理的配慮が法的義務となった。2024年施行の改正法で私立大も対象となり、全ての大学で義務づけられた。

同法は「障害の社会モデル」を前提にする。障害がある人の生活上の困難は、心身の障害そのものが原因ではなく、障害のない人々を前提に作られた社会の仕組みによって生じるという考え方だ。様々な特性や考え方を持つ人々が対話によって相互理解を深め、社会的障壁を取り除くことを目指す。