千葉県野田市にある西武台千葉中学校・高等学校に今年度、中村淳一校長が就任した。公立校での長年の勤務経験を持つ中村校長は、新天地でも「挑戦し続ける人間であれ」と呼びかけ、文武両道を目指す生徒たちを支援する。
公立から私立へ、新たな挑戦
中村校長は、千葉県の市立・県立中高で勤務し、柏市立柏高等学校校長や千葉県立流山おおたかの森高等学校校長を歴任。英語科教員として国際交流活動に力を入れるとともに、バレーボール部顧問としてスポーツ指導にも尽力してきた。
校長就任の経緯について、中村校長は「これまでの教員生活の中で常に生徒たちに『挑戦し続ける人間であれ』と声を掛けてきました。公立の学校に勤務してきた私にとって、私立である本校校長の職は新しい挑戦であり、常々言ってきたことを自ら実践するチャンスであると感じました」と語る。
また、「自分がやりたいと思うことだけでなく、周りの人がやってほしいと思っていることができるのが本当のプロフェッショナルである」を座右の銘とし、須田秀伸前校長からの打診を受け、期待に応えたいと考えたという。
英語教育と国際理解教育を強化
長年英語科教員として国際交流活動を支援してきた経験から、同校が実践してきた英語教育や国際理解教育を強化したい考えだ。1学期の終業式では、生徒たちに「グローバル人材とは何だと思いますか」と問いかけ、フランス・パリのバスの中で日本人女性が現地の人に差別的な扱いを受けた際、バスの運転手に助けられたというエピソードを紹介。語学力だけでなく、コミュニケーション力や異文化理解能力の重要性を伝えた。
英語教育では、「5ラウンドシステム」という指導法を導入。英語のインプットからアウトプットへ無理なく発展させるこのシステムで中学から学んだ生徒は、高校から入学した生徒よりアウトプットの力が高く、高1で実用英語技能検定(英検)準1級に合格する生徒も出ている。
身に付けた英語力を活用する機会として、中高生向けのオーストラリア語学研修や高2の台湾修学旅行などを実施。現在あるオーストラリア・台湾・中国の姉妹校を、今後は他の地域や国々にも広げたいと考えている。今年度の台湾修学旅行に同行する予定で、現地であいさつだけでも中国語で行いたいと、昔かじった中国語を勉強し直しているところだ。
3大プロジェクトと教養講座
同校では「メディカルプロジェクト」「教員養成プロジェクト」「ICT未来創造プロジェクト」をキャリア教育3大プロジェクトとして推進。メディカルでは医療・看護系を志す生徒に実践的な指導を行い、教員養成では地域の小学校などと連携して現場の指導法を体験する。高校から教員養成を行う学校はまだ少なく、「先生を目指すなら西武台千葉」と認知されるようなプロジェクトに発展させたい考えだ。
ICT未来創造では、企業や大学の協力を得て最先端の技術に関するワークショップなどを開催。今年度は新たに東京情報大学と高大連携協定を結び、総合情報学部と看護学部の知見を生かし、医療データを看護に生かす取り組みなどで協力を仰ぐ。
課外講座では、「若き日に豊かに知性を磨き美しく心情を養い逞しく身体を鍛えよ」の校訓のもと、生徒が週1回放課後に参加する「教養講座」を実施。気象予報士試験合格を目指す「気象予報士養成講座」や、地元・野田市の歴史や自然を探訪する「入門野田学講座」などがあり、近隣で活動する外部の専門家が講師を務める。
部活動では、バドミントン部女子が17年連続全国大会に出場し、陸上部や柔道部にも全国大会出場選手がいる。「武」を単に運動ととらえず、他人を思いやる気持ちや礼儀正しさ、自ら律して高めようとする強い精神力の象徴としている。
生徒との関わりと今後の展望
中村校長は、最寄りの駅で生徒の様子を見ようと通勤に車を使わず電車を利用し、校門で朝のあいさつをしながら生徒を出迎えている。校長室のドアは開けたままにして、生徒が気軽に入ってこれるようにしている。笑顔で励ましの言葉を掛けることで、生徒たちの自己肯定感が高まり、自分の存在意義を意識するようになることを期待している。
着任当初、生徒たちに「この学校のいいところは?」と尋ねたところ、「一番は、学校が落ち着いていて、先生方が熱心に指導してくれ、安心して学校生活を送れるところ」といった声が返ってきたという。専門性の高い教員が多数在籍しており、それぞれの得意分野を生徒指導に生かしてほしいと考えている。
同校は、夢や目標を持って入学した生徒が自分のやりたいことをとことん突き詰められる学校だ。進学は「第一志望現役合格」を応援し、部活動で全国大会を目指しつつ希望する進路を実現するための校内予備校や課外集中講座を用意している。
「様々な挑戦の機会を見いだし、失敗を恐れず、その挑戦を楽しんで他の人の挑戦にも協力する。そして、その挑戦が心豊かで平和な社会の構築に寄与するものとなる。そういう人材が育つ学校にしていきたい」と中村校長は語る。



