大妻中野、W WL拠点校の集大成「チャレンジ精神」で広がる学びの輪
大妻中野、W WL拠点校の集大成「チャレンジ精神」で広がる学び

大妻中野中学校・高等学校(東京都中野区)は今年度、文部科学省の「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」カリキュラム開発拠点校として、まとめの年を迎えた。「Beyond School」をテーマにした活動で学外とのネットワークが広がり、生徒の自主的な活動も盛んになっている。諸橋隆男校長に活動の軌跡と今後の展望を聞いた。

SGH、ユネスコ、WWLと発展

諸橋校長は早稲田大学社会科学部卒業後、千葉県の私立高校に9年間勤務し、1992年に大妻中野に赴任。主幹、教頭、副校長を経て2024年度から校長を務め、WWL採択の初年度から高大連携などを促進してきた。

「本校の活動の原動力はチャレンジの精神です」と諸橋校長は語る。グローバルリーダーの育成を目指す本校は、「繋ぐ・行動する-“Beyond School”アプローチによる協働型の地球市民教育」をテーマに2022年からWWL申請の準備を進め、24年度に拠点校として採択された。「Beyond School」は「学校の枠を超えて」という意味で、国内外の教育機関との連携を強化し、自主的に動こうとする生徒の活動の場を広げている。

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例えば24年4月、順天堂大学と高大連携協定を締結し、5月に国際教養学部の白山芳久准教授が「国際協力・国際保健医療」などに関する特別授業を実施。25年4月には、英語で授業を実施している法政大学グローバル教養学部(GIS)と高大連携協定を結び、LGBTQ+と観光の関係性などを学ぶ大学授業体験ゼミを11月に法政大学で行った。参加した生徒からは「観光を単なる産業ではなく、社会設計として見直したい」という声が上がり、個人探究のテーマ設定に反映している。さらに、津田塾大学、テンプル大学東京キャンパスとも高大連携協定を結んでいる。

海外の教育機関とは、タイの「サンパトーンウィタヤコムスクール」や、台湾の姉妹校・連携校である「聖功女子高級中學」と交流プログラムを実施。生徒が現地を訪問したり、相手校の生徒を招いて文化交流したりしている。

WWL以前からのグローバル教育

本校は1941年に創立され、95年に中学を併設。2002年度から積極的に海外帰国生を受け入れ、現在では生徒の10%以上が帰国生だ。この環境を全校の教育実践に生かそうと、15年に英語の授業をすべて英語で行う「グローバルリーダーズコース(GLC)」を開設した。帰国生に限らず、英語学習歴が一定レベル以上の受験生も受け入れ、ネイティブ教員を中心にオリジナル教材を使った授業を行っている。中3以降は他のコースからの移行も可能だ。

同じ年に文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイト校」に指定され、19年まで活動。SGH事業終了後の20年からは「SGHネットワーク校」として他校との連携を続けている。さらに22年からはユネスコスクールとしても指定を受け、ポストSDGs(持続可能な開発目標)などに向けたワークショップに参加している。こうした一連の活動が現在のWWL拠点校に結び付いている。

「本校の活動の原動力は『チャレンジ』の精神です。教職員の間には『留まる=後退』と考える気風があります」。11年度から17年度まで校長を務めた宮澤雅子氏は、職員会議で「大人の『1年待とう、様子を見よう』『時期尚早では』という判断は、生徒の教育環境を10年遅らせることになる」と発言した。その言葉に象徴されるチャレンジ精神が、GLC開設、SGHやユネスコスクール、WWLへの参加という動きに脈々と流れている。

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生徒の自主的活動、ボルネオ島での観察も

本校には20年以上前から、社会課題解決に向けて生徒が自主的に課外活動に取り組む実践プログラムがある。15年からは中2から高2までの希望者が「フロンティア・プロジェクト・チーム」として定期的に活動。主に理系の課題解決をテーマとする課外活動「S-TEAM」が20年から並行している。高校の「探究」授業が22年に必修化されるはるか以前から、生徒たちは自分たちで探究テーマを見つけ、調査や発表に取り組んできた。

「フロンティア・プロジェクト・チーム」の活動として、24年夏に東京農業大学の松林尚志教授によるボルネオ島の野生動物保護に関する特別授業を受け、25年の夏休みには中高生4人が東京農大の学生とともにボルネオ島を訪れ、マレーグマの生態観察などを行った。参加した当時の中1生はその成果を夏休みの自由研究としてまとめ、校内でポスター発表している。

今年2月には有識者を招いてWWLの成果発表を実施。11月にはWWLを総括する会議を本校で開催する。これらはフロンティア・プロジェクト・チームなどの成果が生かされる場だ。WWL拠点校としての活動は本年度までだが、WWLで広がったネットワークにより生徒の意識が高まり、さらに幅広い活動が可能になっていることを実感しており、この力は来年度以降もさらに発展するものと期待している。

進路実績と今後の展望

昨年度は早稲田大学や上智大学など最上位私立大学の合格者数が前年度比2倍以上に増えた。模試の成績は例年と大きく変わっておらず、「第1志望を譲らない」という進路指導の成果だと考えている。探究活動で自分の目標を見つけ、高い志を持つことで、よりレベルの高い第1志望の大学に挑戦して合格する生徒が増えた。

校長は「生徒と教員・職員の交流が盛んなところが本校の特徴です」と話す。時間に余裕がある時は校長室に「開放中」の札を掲げ、生徒が自由に訪れて雑談や進路相談をする。また「読書はあなたを裏切らない」というテーマでお勧めの本を校内ネットワークで紹介しており、生徒から「本、読みました!」と声を掛けられることもある。学校が安心して学べる場であることが、生徒の積極性や自主的な活動につながっていると考えている。

次期学習指導要領のキーワードに「ウェルビーイング」、すなわち個人や社会の幸福の実現が挙げられており、本校ではそれを教職員研修のテーマとしている。自分の幸福感を高めることが地域や社会全体の幸福につながる。そのために学校としてできることを追求していきたいと考えている。