「私、褒めるのが下手で…」と悩む母親ほど、実は「声かけ」で子どもの行動を変えられる可能性が高い。発達科学コミュニケーション代表で学術博士の吉野加容子氏は、発達特性のある子どもたちには「できた」「見てもらえた」という経験が特に必要だと指摘する。
「見て見て!」は成長のサイン
人は誰でも「自分を見てほしい」「認めてほしい」という承認欲求を持っている。この欲求が満たされると、子どもは少しずつ変わっていく。最初は「見て見て!」「できたよ!」というアピールから始まるが、それを受け止め続けると、やがて子ども自ら「お母さん、ほら見て。僕、食器をキッチンに持っていってるよ」と役に立つ行動を見せに来るようになる。その瞬間に「食器を片づけてくれてありがとう!」と声をかけると、子どもはまんざらでもない顔をし、また同じ行動を繰り返すようになる。
肯定とおだては別物
吉野氏は「肯定する」と「おだてる」はまったく別物だと強調する。肯定は事実を認めることであり、おだては何かをやらせたい下心から出る言葉だ。子どもはこの違いを驚くほど正確に見抜く。「うちの子、肯定したら怒るんです」という相談も多いが、それは子どもが肯定に慣れていなかったり、親の下心を感じ取ってプレッシャーになっている可能性がある。だからこそ、シンプルに「今できている事実を見る」だけでよい。例えば歯磨きを習慣にさせたいなら、「今日も歯磨きできたね」「歯ブラシ、元の場所に戻ってるね」といった当たり前の声かけで十分だ。
筋トレのようにコツコツ育てる子どもの脳
最初は声をかけられたからやる。次に「できた」と気づく。そのうち「これは自分でできることなんだ」と脳に残っていく。吉野氏は「子どもの社会性は、こういう小さなやりとりの中で育っていきます」と述べ、親は「あれをさせよう、これをさせよう」と考える必要はなく、ただ事実を認める声かけを続けることが重要だとしている。



