茨城県内で外国人の日本語習得を支援する教室が各地で開かれている。2019年施行の日本語教育推進法では、外国人への学習環境整備を国や自治体の責務と定めた。県内で暮らす外国人が増える中、教室は地域住民との交流や悩み相談の場としての役割も期待されている。
石岡市の教室、約30年の歴史
8月25日夜、石岡市国府地区公民館にパキスタンやナイジェリアなど海外出身の夫婦や親子ら16人が訪れた。住民ボランティアら21人と向き合い、約2時間にわたって平仮名や漢字の読み書きを教わった。
インドから約5年前に来日し、行方市の自動車解体場で働くジョシ・パトロース・ケレケカイペルさん(40)は、ノートに何度も漢字で住所を書いた。「漢字を仕事で使えるようになりたいが、覚えるのがとても難しい」と語った。
日本語教室は、石岡市の国際交流団体「フレンドシップいしおか」が約30年前に開講した。現在は火曜の夜と水曜の昼、毎月第1、3日曜の昼に開いている。受講料は無料で、ボランティアからの会費と市の補助金で運営している。ボランティアには学生や会社員、主婦、教員、医師ら20~90歳代の47人が登録している。
悩み相談や防災学習も
市内で暮らす外国人は昨年12月末時点で1850人。日本語教室では受講する外国人から生活や子供の教育、在留資格に関する相談が寄せられ、内容によっては本人と一緒に関係機関で説明を受けて解決を図ることもある。団体の小松崎一枝会長(78)は「困っている人を助けたい。外国人にも安心して暮らしてほしい」と話す。
阿見町の日本語教室でも8月30日、防災かるたを使ったイベントが行われ、外国人10人が日本語とともに災害への備えを学んだ。
教室は、主に自治体の国際交流協会やボランティア団体が外国人の日本語習得を支援する目的で運営する。技能実習生などの外国人労働者や家族が月に数回、無料または安価で学んでいる。就職や進学を目指す外国人留学生が通う「日本語学校」とは性質が異なり、地域住民と交流したり、生活の悩みを相談したりできる場としても役立っている。
県内の教室数と今後の課題
文部科学省が2024年度に行った日本語教育実態調査によると、県内の日本語教室で学ぶ外国人は2754人に上り、前年度より843人増えた。日本語教室数は前年度から1教室減って55教室だった一方で、日本語教室がない市町村を指す「空白地域」は3自治体と前年度の6自治体から改善された。
県国際交流協会の根本博文理事長は「日本語習得を望む外国人は増えるが、ボランティアの活動には限界がある。行政にも、日本語教室の運営にもっと積極的に関わってもらいたい」と話す。