成績急降下は「伸びている」サイン?塾迷子にならないための学力の真実
成績急降下は「伸びている」サイン?塾迷子防止法

「点数が下がったら塾を変えるべき」――もしあなたが親としてそう思っていたら、それはもったいない可能性がある。成績が一時的に下がるその瞬間こそ、本当はいちばん「伸びている」途中かもしれない。『地頭力の正体』(7月発売)の著者・西岡壱誠氏(一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当)が、正しい学力の伸び方を解説する。

「勉強した分だけ点が上がる」はもう昔の話

西岡氏は仕事柄、多くの保護者から「3カ月通わせたのに点数が下がった」といった相談を受けるという。「先生、うちの子、もう3カ月もこの塾に通っているのに、成績がぜんぜん上がらないんです。むしろ、前より下がってしまって……。やっぱり、この塾は合っていないんじゃないでしょうか。別のところに変えたほうがいいんでしょうか」と。

お気持ちはわかると西岡氏は言う。毎月決して安くない月謝を払い、送り迎えもしているのに、肝心の成績が上がるどころか下がっている。不安になるのは当然だ。しかし、これには難しいからくりがある。

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多くの人は「勉強すればするほど点数が上がる」と思っている。10時間勉強すれば模試で+5点、30時間で+15点――勉強時間と点数がきれいに比例する経験をしてきたからだ。実際、昔のテストは年号や用語を覚えればその分だけ点が伸びる、「努力は裏切らない」世界だった。

現代のテストは「10時間でも30時間でも上がらない」

ところが最近のテスト、特に大学入学共通テストや難関校の入試問題はまったく違う性質を持つようになった。これが現代の保護者がいちばん見落としているポイントだと西岡氏は指摘する。

知識は増えるほど「迷う」という現象が起こる。例えば歴史の用語を10個しか知らない状態では、選択肢を見ればすぐに答えが絞れる。しかし100個知っていると、似たような用語が頭の中に複数浮かび、迷ってしまう。結果として、正答率が一時的に下がることがある。

これは「頭がよくなっている」証拠だと西岡氏は言う。知識のネットワークが広がっているからこそ、混乱が生じる。この「迷いの時期」を乗り越えると、知識が整理されて一気に伸びる。

「塾迷子」が子どもの伸びを止める?

「すぐに結果が出ない時期」を、どこまで信じて待てるかが重要だ。成績が下がったからといって塾を変えると、また新しい環境で同じ「迷いの時期」が始まる。結果として、子どもはいつまでたっても「伸びる瞬間」を迎えられない。

西岡氏は「点数が下がったら塾を変えるべき」という考え方はもったいないと警鐘を鳴らす。本当に塾が合わないケースもあるが、多くの場合は「伸びる前の一時的な下降」である可能性が高い。

保護者に求められるのは、短期的な点数に一喜一憂せず、長期的な視点で子どもの成長を見守ること。西岡氏は「地頭力」の正体を理解し、正しい学力の伸ばし方を知ることが、塾迷子にならないための鍵だと語る。

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