香川県の坂出市消防本部は、119番をした人にスマートフォンから現場付近の映像を送ってもらうシステム「Live(ライブ)119」を10月から導入する。通報内容の詳しい状況を把握できることで、迅速な対応が期待できる。県内で3例目となるが、スマホの操作に慣れない人は撮影ができない恐れがあるといった課題もあり、県内全域での導入は見通しが立っていない。
システムの仕組みと期待される効果
このシステムでは、119番を受けた通信指令員が映像が必要と判断すると、許可を得た上で、通報した人のスマホにショートメッセージサービス(SMS)で専用ウェブサイトのアドレスを送る。通報した人はそのアドレスに接続すると、カメラが自動的に起動。動画で撮影した現場の様子は即時に指令員と共有される。
指令員は、助けるべき人の意識や呼吸の状態、火災現場での煙の状況などを確かめることができ、消防隊員の的確で素早い活動に結びつけられる。通報者が応急手当てをする際は、指令員が適切な指導をすることも可能だ。同消防本部はシステム導入による救命率の向上を期待している。
県内での導入状況
Live119は、高松市消防局(高松市と綾川、三木両町を管轄)が2022年に県内で初めて導入。昨年は86件の通報でシステムを活用した。担当者は「円滑に映像を映すことができれば、傷病者や現場の状況を早く確認できる」と話す。
今年4月には、丸亀、善通寺両市と多度津町の119番を受ける「中讃消防指令センター」(丸亀市)も本格的に運用を開始。4~8月に34件でシステムを用いた。
課題と今後の見通し
メリットばかりではない。通報した人がスマホの操作に慣れていない場合、現場付近を撮影できない恐れがある。詐欺対策としてSMSのメッセージ受信を拒否する設定をしていると、アドレスが通報した人に届かず、映像の共有ができないこともある。
119番を受ける指令員が対処できないほどの通報が殺到すると、指令員がシステムを活用する余裕を失ってしまうことも考えられる。
まんのう、琴平両町を管轄する仲多度南部消防組合は、Live119を導入する予定はないとする。担当者は「現場の状況を映す作業に時間を取られる。他の通報が入り、手薄になる可能性がある」と危惧する。
さぬき、東かがわ両市を受け持つ大川広域消防本部は、導入について未定という。「仮に導入しても、今の指令員の人数で対応することになる。対応する職員を増やすことは難しいだろう」としている。



