子連れ歓迎ライブ「ギャン泣きFES」初開催、泣いてもOKの温かい空間…親の孤立防ぐ試み広がる
子連れ歓迎ライブ「ギャン泣きFES」初開催、泣いてもOKの温かい空間

小さな子どもを連れてライブや劇場に行きづらいという親の悩みに応え、大人も満足できる本格的な内容の催しが広がっている。主催者側は客層の開拓を見込んでおり、子育て世代の孤立を和らげることにもつながりそうだ。

「ギャン泣きFES」に約140人

NHK大阪放送局(大阪市中央区)で9月5日、ライブイベント「ギャン泣きFES」が初めて開催された。子連れで参加でき、会場で子どもがぐずってもいいのが売りだ。1~11歳の子どもと親ら約140人が同局のスタジオで観覧し、人気歌謡グループ「モナキ」の歌や、お笑いコンビ「天才ピアニスト」のコントなどを楽しんだ。

出演者は客席に「泣いてもいいですからね」と呼びかけ、実際に泣き出す子がいても会場は温かい空気に包まれた。子ども向けに音響は控えめに調整し、途中で出入りしやすい工夫もあった。

「大人が楽しめることを意識」

お笑いコンビ「チョコレートプラネット」の松尾駿さんは「『泣いてもいい』と受け入れるからこそ、落ち着いて見てくれた。こういうイベントがもっとあっていい」と語った。

企画した鈴木康之プロデューサー(40)も、子育て中にライブに行きづらかった経験がある。「子ども向けでなく、まず大人が楽しめることを意識した。観客の満足度も高かった」と話す。イベントの様子は今月9日、NHK総合で放送される予定で、次回以降の開催も検討中という。

バレエや映画でも子連れ歓迎の動き

フェスティバルホール(大阪市北区)では9月19日、牧阿佐美バレエ団(東京)が「シンデレラ」を上演。バレエは格式高い印象から子連れでの観劇は敬遠されがちだが、親子で楽しめる演目を制作し、新たなファンの獲得を目指す。4歳以上が対象で、上演時間は全幕バレエとしては短めの約1時間30分。物語は登場人物の心情を多面的に描き、大人も楽しめる内容にした。

長女(5)と来場したという大阪市城東区の女性(41)は「自分が好きなバレエを、こんなに早く子どもと見られるとは思っていなかったのでうれしい」と満足げだった。映画館やコンサート会場でも、子連れで鑑賞できる日や時間を設ける動きが各地で広がっている。

調査で「行けない」が8割超

イベントの映像中継などを行う会社「ライブ・ビューイング・ジャパン」が昨年、小学生以下の子どもを持つ親約1000人を対象にした調査では、ライブやコンサートに行きたいと思うが行けないことが「とても多い」と回答した人は40・2%に上り、「やや多い」が41・8%だった。子どもが生まれる前と比べて行く回数が「とても減った」「やや減った」と答えた人は75・8%。子どもの預け先がないことを理由に挙げた人が多かった。

芸術文化観光専門職大の古賀弥生教授(文化政策)は「子育て世代が我慢せずに文化的体験ができる社会が望ましいし、孤立せず外とつながるきっかけになる。イベントの主催者にとっても新たな客層を獲得するチャンスになる。会場でどんな配慮が必要なのかを業界で共有すれば、さらに取り組みが広がるのではないか」と指摘した。